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大震法「現行の対応改める必要」 作業部会、方向性案に明記

7/3(月) 17:10配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 大規模地震対策特別措置法(大震法)の見直しを含めた南海トラフ沿いの地震の観測・評価に基づく防災対応を検討している国の中央防災会議有識者ワーキンググループ(作業部会)は3日、第6回会合を都内で開いた。大震法に基づく現行の仕組みについて「現在の科学的知見を受け、改める必要がある」と明記した「とりまとめの方向性(案)」を事務局側が提示した。

 大震法に基づく現行の仕組みでは、ひずみ計の観測網が異常を捉えると「2~3日以内に東海地震が発生する恐れがある」という旨の地震予知情報を基に首相が警戒宣言を発令し、大地震発生前に住民避難や各種規制措置が一斉に実施される。

 事務局の内閣府は方向性案で大震法による現行対応を改める必要性を明記した上で「現在の科学的知見を防災対応に生かしていく視点は引き続き重要」と指摘。「どのような防災対応が適切か作業部会の検討結果を受けて社会的な合意形成を行い、その結果を踏まえ必要な制度を構築すべき」と記載した。これまで議論してきた、地震発生の可能性(切迫度)と、人や地域で異なる「脆弱(ぜいじゃく)性」に基づくレベル分けの防災対応を基本方針とする考えも強調した。

 一方、新たな対応が決まるまでの間にも駿河トラフを含めた南海トラフで異常な現象が観測される可能性はある。方向性案はこの点にも踏み込み、国・地方公共団体が「当面の暫定的な防災体制をあらかじめ定めておく」必要性を盛り込んだ。

 作業部会は、想定される異常のケースに(1)南海トラフの半分で地震が起き、もう半分が割れ残る(2)南海トラフでマグニチュード(M)7級の地震が発生(3)2011年3月の東北地方太平洋沖地震に先行したような現象を多種目で観測(4)東海地震の判定基準とされる前兆すべりを観測―を挙げている。



 ■とりまとめ方向性案の要点

 【南海トラフで異常な現象が観測された場合の防災対応の方向性】

 ▼大震法による現行の防災対応の取り扱い

 ・「2~3日以内に東海地震が発生する恐れがある」という情報を前提とした大震法による現行の防災対応は改める必要がある

 ▼異常現象の評価に基づく防災対応の基本的な考え方

 ・ケース1とケース2は、大地震の発生確率が一定程度高い期間内に、避難を含む何らかの応急的な対策を講じる意義はある

 ・ケース4は定量評価できず、避難を促すことは難しいという考えがある。こうした考えが適切かも含め、社会的合意を形成すべき

 ・(ケース3は、現時点ではその評価情報を防災対応に生かす段階には達していない)

 ▼短期的な発生確率に基づいた防災対応の基本的な考え方

 ・具体的な対応案は国や地方公共団体、各事業主体が実施によるメリットとデメリットを勘案して検討すべき

 ・例えばケース1における確率の高い3日間程度を比較的厳しい防災対応(津波到達時間が極めて短い地域の避難など)を講じる期間にするなど、リスクに応じてレベル分けした防災対応を標準として、今後具体的な検討を進めることを提案

 【おわりに】

 ・突発発生を前提とした防災対策は引き続き着実に進めるべき

 ・新たな対応が決まるまでの間に備え、国や地方公共団体は暫定的な防災体制をあらかじめ定めておくこと

静岡新聞社