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リコー・山下社長「汎用化する製品を売っても疲弊するだけ。自前主義の大原則見直す」

7/3(月) 12:37配信

日刊工業新聞電子版

■強みの直売が重荷に

 事務機器各社が事業転換を急ぐ中、4月に就任したリコーの山下良則社長は、これまでの成長を支えた大原則を否定し、利益重視へ転換する構造改革を打ち出した。同社は2017年3月期の営業利益率が2%弱に落ち込み、同業他社に比べ苦戦が目立つ。どう業績を浮上させるのか。山下社長に聞いた。

―シェア追求やフルラインアップ、自前主義などの大原則から見直すと宣言しました。
 「汎用化する製品を売っても疲弊するだけだ。プリントする価値が相対的に落ち、保守の利益率が低下し、強みだった直売が重荷になってきた。もう一度強みにするために、変わらなければならない。価値を提供し、対価をいただく本来のビジネスに向き合う」

―社内の反応は。
 「国内外の各拠点を訪問し、その拠点の幹部に直接説明した。企業規模が大きいため、各責任者が(しっかりと)理解し、実行しなければ改革は完結しない」

―改革の進捗状況は。
 「米国では採算性の悪い直売の地域を選び、稼働している当社製品のアフタービジネスなどの権利を有力ディーラーに預けた。(顧客が)遠方なため、当社から頻繁に訪問できなかった。選んだディーラーには、ソリューション販売などを優先的に支援する。米国で人員を削減したが、半分近くはディーラーに再就職した。顧客へのサービスが手厚くなり、ディーラーは当社製品をもっと売ってくれる。ちゃんと価値を提供できる会社であれば、シェアは戻る」

―競争軸が、複合機を使って業務効率を上げるソリューションに移っています。
 「その通りだが、保守より利益率は低い。今のビジネスモデルのままでは、保守の売り上げが落ちると、ソリューションを売っても利益が減る。トナーや保守部品、従業員の効率化で原価を下げた上で、ソリューションの利益を乗せ、顧客のワークフロー改善で成長する。複合機には遠隔サービスなどの機能を搭載する。新事業もきっちりやるが、3―4年の間に売上高の多いオフィス(向けのビジネス)を利益重視の状態にしなければ、次の手が厳しくなる」

―モノづくりの自前主義を見直すことで、生産体制はどう変わりますか。
 「プリンターは調達の割合が増える。販売面での競争は変わらないが、ハードウエアの面で協業したり、生産を相互に補完したりする可能性はある。工場を事業開発や技術開発の拠点へ活用する検討も行う。自前主義の見直しは、ソリューション開発にも共通する。自社だけで顧客ごとのカスタマイズなどに対応するのは高コストだ。社外と一緒に価値をつくる体質に仕上げたい」

 2月に山下社長の就任を発表した後、リコーは矢継ぎ早に構造改革の手を打った。人事もその一つで、全社横断の改革テーマごとに特命担当役員を任命した。週に1回会議を行い、経営判断のスピードを上げている。オフィスを取り巻くITは大きく変化しており、構造改革に加えて、新しいサービスの開発などで早く変革を進める必要がある。