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ペット霊園、突然の閉園 放置される犬や猫の遺骨

7/3(月) 11:50配信

sippo

 全国各地に広がりをみせるペット霊園。ただ、これまで設置などをめぐってトラブルも起きてきた。関連する国の法律はなく、規制は自治体任せの状態。条例などを整備した自治体は昨年4月時点で159で、10年間で3倍以上に増えてはいるが、規制がない自治体では突然の閉園で遺骨が放置される事態も起きている。

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 大阪府枚方市の郊外にペット霊園「宝塔」の跡地がある。「コロ、家に帰っておいで」。5月下旬に訪れた同府寝屋川市の会社員河野祐紀子さん(50)は、3年前に死んだメスのシバイヌに心の中で呼びかけた。霊園は連絡もなく閉園し、1千坪あるとうたっていた敷地内には多数の墓石や遺骨が山積みに。コロの遺骨がどれかわからなくなっていた。

 関係者らによると、霊園の元経営者は「陶器を作るため」と土地を借りたが、無断で20年以上前にペット霊園を開園して提訴され、2013年に墓の撤去などを条件に和解が成立、閉園へとつながった。元経営者は「霊園にはペットが1万体ほど眠っていた。本当に申し訳ない」と話すが、撤去をまだ終えられずにいる。

 ペットを埋葬した人たちは複数の会をつくり、別の霊園に遺骨を移す検討も。13家族が入る「宝塔遺族の会」の北脇武代表は「行政はあてにならず、遺族が動く必要があった」と話す。

枚方市に聞くと、動物愛護法に基づき犬や猫を担当する市保健衛生課は「生きている犬猫が担当なので担当外」。動物の死体は法律上は廃棄物だが、市環境総務課は「霊園が扱う動物の死体は廃棄物ではない、と国の通知があるので担当外」と説明する。市は「何らかのルールが必要」と条例の制定も視野に検討を始めている。

■国の議論、具体化せず

 ペット霊園をめぐるトラブルがきっかけで独自に条例を整備した自治体は各地にある。京都市の条例では、墓地を廃止する際は利用者に事前説明し、ほかの墓に骨を移すなど「利用者の心情に配慮した対応」をするよう明記している。

 環境省がこうした規制の実態を調べたところ、16年4月時点で少なくとも159自治体が動物の死体の火葬・埋葬業者に関する条例などを定めていた。10年前は45自治体だった。

 ただ国レベルでは関連の法整備はされていない。業者を自治体の登録制にすることなどが12年の動物愛護法改正時に議論された。しかし、同法2条が「動物が命あるものであることにかんがみ」としていることから、死んだ動物を取り扱う業の規制は「法律の目的にそぐわない」などと見送られた。同法は来年度にも改正の可能性があるが、霊園業などの規制の議論は具体化していない。

 ペット関連の法律に詳しい細川敦史弁護士(兵庫県弁護士会)は「ペットを手厚く供養したい人は全国にいる。法でペットの火葬・埋葬業を登録制にしたり、閉園時の手続きを定めたりする必要がある」と話す。

■業界内に温度差

 規制については業界団体では温度差があるようだ。

 90の霊園が加入する一般社団法人「全国ペット霊園協会」(事務局・横浜市)では「良心的、かつ健全なペット葬祭の普及に努める」ことなどを目的に会員向けの勉強会も開く。伊東正和理事は「自治体が業者を把握して指導監督もできるようにして欲しい」と話す。

 73霊園が加入する一般社団法人「日本動物葬儀霊園協会」(事務局・金沢市)は、動物葬祭に関わる技能や知識をみる協会独自の資格制度を作り、検定試験を実施している。中村修二理事長は「自由競争で業界の質を上げていくことが大切」と、行政による規制は協会側からは求めないという。

sippo(朝日新聞社)

最終更新:7/3(月) 12:04
sippo