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珍しくない「気胸」と「膿胸」 改善ない場合は手術も考慮

7/3(月) 11:20配信

山陽新聞デジタル

 気胸と膿胸について、岡山済生会総合病院(岡山市)の奥谷大介外科主任医長に寄稿してもらった。

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 気胸と膿胸(のうきょう)は、しばしば耳にされる病名だと思います。しかしどのような病気で、どうして起こるのか、よく分からないので知りたいと思われている人は多いのではないでしょうか。

 気胸とは、何らかの原因で肺に穴が開き、穴から漏れた空気が胸腔(きょうくう)内にたまって、その圧力で肺が収縮してしまう病気です。症状としては、突然の咳(せき)や呼吸困難、動悸(どうき)、胸部痛などが多いのですが、肩や鎖骨部の違和感程度の時もありますし、症状がなく胸部レントゲン検査で偶然に発見されることもあります。

 気胸は原因によって4種類に分類されます。1番多いのは「特発性自然気胸」です。背が高く痩せ型の10~30代の男性によく発症します。肺の中にある空気の袋(ブラまたはブレブと呼ばれます)に穴が開くことが原因です。二つ目は「続発性自然気胸」です。肺気腫・肺結核・肺がんなど、肺の病気を持つ比較的高齢の方に発症しやすい気胸です。三つ目は子宮内膜組織が肺や胸腔に存在している場合があり、その子宮組織が月経時に気胸の原因となる女性特有の「月経随伴性気胸」です。四つ目は交通事故などの外傷で肋骨(ろっこつ)が折れ、肺を傷つけることで起こる「外傷性気胸」です。

 軽症の気胸では安静にして自然治癒を待ちます。中等度以上では胸腔ドレナージ(胸腔内に管を挿入し、たまっている空気を体外に排出させる)を行います。数日間の胸腔ドレナージで穴が閉じれば、治癒したと判断して管を抜去します。胸腔ドレナージを行っても、穴が閉じず症状が改善されない場合は手術も考慮しなくてはなりません。

 手術は胸腔鏡を用いて行うことが一般的です。胸部に小さな穴を3カ所開けて胸腔鏡を挿入し、モニター上の拡大画面で確認しながらブラや子宮内膜など気胸の原因となる部位を取り除きます。一般的に、手術後数日で退院が可能です。

 手術を回避して治癒した気胸の留意点は、再発を繰り返すことや対側に気胸を発症する可能性があることです。特発性自然気胸の初回発症後の再発率は約40%、2回以上発症した後の再発率は約60%と報告されています。再発を繰り返す気胸では原因となるブラ病変が存在し続けるため、病変を取り除く手術で再発の予防が期待できます。

 膿胸とは感染症であり、胸腔内に膿(うみ)が貯留した状態です。発症して3カ月以内の場合は「急性膿胸」、発症して3カ月以上経過した場合は「慢性膿胸」と呼びます。急性膿胸では、ブドウ球菌などの細菌感染が原因であるのに対して、慢性膿胸では結核性胸膜炎に起因するものが多いです。高齢者、糖尿病、肝臓や肺などに持病のある人、ステロイドを長期間使用している人など、抵抗力が低下すると膿胸を発症しやすいとされていますが、健常者で発症することも珍しくありません。症状としては、突然の胸痛、発熱、咳や呼吸困難が認められます。ほかの病気でも出現する症状ですが、これらの症状がある時には、膿胸、特に急性膿胸の可能性も念頭に置くことが大切です。

 急性膿胸の治療の基本は、胸腔に管を挿入し、膿を排出しながら、原因菌に有効な抗菌薬を使用することです。これらの治療で効果が十分でない場合、手術が必要になります。急性膿胸の手術でも、胸腔鏡を用いて行われることが一般的になってきています。

 一方、慢性膿胸では、胸腔鏡による手術は難しく、胸膜剥離術や胸部に大きめの穴をあける開窓術などを行う場合もあります。膿胸で大切なことは早期に治療を開始することです。

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 岡山済生会総合病院(086―252―2211)