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日本鉄鋼業の研究開発力強化へ「官民連合」、物材機構拠点に高炉3社参画

7/3(月) 6:01配信

鉄鋼新聞

 高炉大手3社と国立研究開発法人の物質・材料研究機構(茨城県つくば市、理事長・橋本和仁氏)は30日、鉄鋼材料の基盤技術の強化を目指す共同研究に乗り出すと発表した。物材機構を拠点に4者が研究者や研究知見を持ち寄り、構造材料や構造物の高性能化につながる基礎的な材料特性の解明に取り組む。各社共通の研究課題に官民連合で取り組み、革新的な材料開発の短期化などを目指す。中国など新興国による技術面の追い上げが激しさを増す中、各社の国際競争力の源泉となる研究開発力の底上げにつながると期待される。

 30日に会見した物材機構の橋本理事長は「基礎的な研究領域を切り出して共同研究を進めることで研究開発効率を引き上げる。日本鉄鋼業の国際競争力向上につなげたい」と狙いを語った。会見には高炉3社の技術開発部門のトップも出席し、新日鉄住金の高橋健二副社長(技術開発本部長)は「中国など海外鉄鋼メーカーの技術開発力が想像以上に進歩している」と危機感を示した上で「日本の鉄鋼技術に一日の長があるうちにオール日本で力を合わせ、将来の競争力を担保したい」と水平連携による研究開発に意欲を示した。
 共同研究では物材機構を拠点とし、つくば市の敷地内の先進構造材料研究棟に「マテリアルズ・オープン・プラットフォーム(MOP)」を設置。新日鉄住金、JFEスチール、神戸製鋼所の高炉3社が参画する。東京大学の研究者2人もクロスアポイントメント制度を利用して物材機構の研究者として参画する。
 各社が派遣する研究者数は今後詰めるが、JFEと神鋼は数名程度となる見通し。物材機構は10人程度の研究者が参画する。各社の研究者はMOPに一定期間駐在して実験などを進め、得られた知見は各社が持ち帰った上で個別に実用化を検討する。
 MOPで取り組む研究課題は鉄鋼材料の基礎基盤の課題。改めて原理原則に立ち返り、革新的な材料開発のシーズの探索を目指す。具体的には高強度の鋼組織の科学的な解明などがテーマに浮上しているようだ。
 物材機構は2015年に世界最先端の材料解析機器を備える「先進構造材料研究棟」を建設するなど構造材料分野の研究体制を強化している。MOPではこうした世界最先端の研究インフラを活用できることも高炉各社にとってはメリットだ。若手研究者の人材育成の場としても活用が期待できるという。
 高炉各社と物材機構が組織の垣根を越えて共同研究に取り組むのは珍しい。中国など新興国の追い上げが激しさをます中、新しい材料開発のスピードを引き上げ国際競争力の維持・強化を目指す。

最終更新:7/3(月) 6:01
鉄鋼新聞