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外見で症状分かりづらい難病患者ら 「ヘルプマーク」広めて 長崎県内導入、雲仙市だけ

7/3(月) 10:07配信

長崎新聞

 外見からは障害があると分かりづらい人が、周囲から手助けを得られやすいよう作られた「ヘルプマーク」と「ヘルプカード」の導入が全国の自治体で広がっている。しかし県と県内21市町で導入しているのは、雲仙市だけ。難病患者や専門家はこうした取り組みがさらに広がることを期待している。

 2015年ごろ。ある夏の日。大村市の山下義也さん(35)は人目を気にしながら、長崎市内で路面電車に乗っていた。その日、職業訓練を受けていたが、授業中に疲労困憊(こんぱい)し体調を崩してしまった。

 山下さんは健康体に見えるが「先天性副腎皮質酵素欠損症」という難病を患っている。成長ホルモンが正常に作られず異常に疲れやすい。病院に向かうため一緒に訓練を受けていた友人と路面電車に乗り込んだ。血糖値を上げ、塩分を補給するため、菓子やスポーツドリンクを飲もうとした。しかし「大の大人が車内で飲食していいのか」とためらった。

 友人から「体が大事。気にしなくていいよ」と言われ飲食したが、ある思いが頭をよぎった。「もし1人だったら我慢したまま症状が悪化していたかもしれない」

 その後、ヘルプマークやカードの存在を知った。山下さんは「自分のように見た目は健康だが、疾患を抱えている人はたくさんいる。マークを多くの人に知ってもらいたい」と話す。

 雲仙市は15年10月、ヘルプカードの取り組みを始めた。表面には「あなたの手助けが必要です」と表記。中面には▽「耳が不自由」「発作がある」「コミュニケーションが苦手」などのチェック項目▽緊急連絡先▽かかりつけ医▽自由記述欄-などを記し、折りたためる。周囲が気付くようストラップで首からぶら下げたり、携帯し必要に応じて提示したりする。

 同市は身体障害者手帳を新規交付する際に声を掛け、今年2月までに188人に配った。

 青森大社会学部の船木昭夫教授(社会福祉学)は「ヘルプマークやカードは、見た目で分かりづらい支援が必要な人のことを周囲に示す手段として有効。そこを『糸口』にコミュニケーションを図り、互いに理解し合うことが、さらに重要になる」としている。

 ◎ズーム/ヘルプマーク 赤地に白の十字とハートがデザインされ、東京都が2012年、樹脂製のカードの配布を始めた。内部障害や義足の使用者、妊娠初期の女性など多岐の利用者を想定し、京都府や青森県など8府県が導入。共通デザインとしてマークが入り、障害の中身などを記した「ヘルプカード」は少なくとも44自治体で運用されている。

長崎新聞社

最終更新:7/3(月) 10:07
長崎新聞