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【のびやかに・浜木綿子】(21)最初は嫌いだった「室生亜季子」

7/4(火) 15:02配信

スポーツ報知

 早いものです。主演ドラマ「監察医・室生亜季子」(日テレ系、1986~2007年、計37話)が終わって、もう10年たちます。いまもBSで再放送されているようで「亜季先生」と声を掛けられることが、時々あります。

 「火曜サスペンス劇場」枠での放送でしたが、聞くところによると、出演女優の最多は私とのこと。驚き、ありがたさ。いまも役名で呼んでいただける作品に出られたことは光栄で、感慨を覚えます。

 いまだから明かしますが、私はこの役が最初、嫌いでした。まず、自分の丸い顔がテレビ向きでないこと。また背も高くなく、白衣が似合わない。慣れない医学の専門用語に四苦八苦するのも目に見えていました。役のリアリティーがどこまで出せるのか、自信がなかった部分もあります。

 でもテレビ時代劇「水戸黄門」を始め、数々の娯楽作品を手掛けた名手、宮川一郎さんが脚本。テレビ局からも熱心に誘っていただき、気持ちを切り替えます。つくづく、俳優の仕事は「自分がこれを演じる、演じたい」ではなく「この役をぜひ」と求められて成立するものだと痛感します。私の可能性に、かけようとしてくださった人たち。自分のことは自分が一番知っていると思いがちですが、本当はそうでないのかもしれませんね。

 ドラマをご覧になった方から「先生、脈見てください」と懇願されることもあります。脈をとりながら「血圧が高いですね。お酒のせいじゃありません?」などと言ってみたり。私の中では、とっくに終わっている役なのに、見た人の記憶には、いまも生き続けている。改めて役者の仕事の尊さを思うのです。

 推理小説やサスペンスが特に好きだったわけでもありません。中には、私=室生先生、だと思っている人もいて困惑します。実際の私はどこか抜けていて、事件を解決させるような沈着冷静さもあまりないと思います。

 皆さんのおかげで視聴率は最高が24・9%(ビデオリサーチ調べ)。20%超えが不思議でなかった時代です。主役のプレッシャーはやはり大きく、数字に一喜一憂。ある時、数字が下がってへこんでいたら、照之に「見たい人は見るんだから。気にしない方がいいんじゃない?」と言われ、気持ちが楽になったこともありました。

 シリーズ当初は、題が「女監察医」と始まっていましたが、途中から「女」の文字が取れ、セリフに出てくる「看護婦」も「看護師」になるなど時代とともに変化しました。“女医師もの”のはしり。結果を出さなければ、と思いました。

 宮川先生は08年に亡くなられましたが、鋭い先見の明の持ち主です。07年のシリーズ最終回。私がナレーションも兼ねていましたが、監察医をしながら、新たに心療内科の資格取得も語っています。実現は難しいでしょうが、もう一度、演じてみたい気持ちもあります。

 浜田刑事役で“コンビ”を組んだ左とん平さんは、いま闘病中です。舞台は埼玉・川越市でした。とんちゃんと収録で幾度となく訪れた懐かしい喜多院にも、また行ってみたいと思っています。(構成 編集委員・内野 小百美)

 ◆室生亜季子の設定 埼玉・川越の人々から愛される3代続く室生医院の院長。もとは内科開業医。法医学者だった夫の登山中の転落死に疑問を持ち、大学で学んで監察医も兼務。劇中では小学校の学校医を務めた時期も。最後の37作目で心療内科、神経科の診察も認定されたことを報告。浜田警部からはずっと思いを寄せられていたが、進展はなかった。

 ◆主演舞台「売らいでか!」出演中 現在、浜は博多座で主演舞台「売らいでか!」(16日まで)に出演中。3日、昼の部の公演で上演550回を迎え、特別カーテンコールが行われた。作品は夫を浮気相手に売り飛ばす人情喜劇。浜は「550回も夫を売ってまいりました。初演時は33歳(昭和43年)でした。あれから何十年、このようにうれしい日を迎えることが出来ました」とあいさつ。祝福のくす玉も割られ、1500人の観客の拍手を受けていた。

最終更新:7/4(火) 22:53
スポーツ報知