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コレ1枚で分かる「モバイルとクラウドの関係」

7/4(火) 10:50配信

ITmedia エンタープライズ

●クラウドの誕生時点からクライアントはブラウザを想定

 クラウドとモバイルデバイスは、それらが生まれた時から切っても切れない関係にありました。

【図解】コレ1枚で分かる「モバイルとクラウドの関係」

 2006年にGoogleのエリック・シュミット氏が「クラウドコンピューティング」という言葉をはじめて使ったとき、「手元にあるあらゆる端末」からアクセスでき、それに必要なのは「ブラウザとインターネットへのアクセス」だと述べましたが、これが、現在のモバイルデバイスの基本的な設計思想に引き継がれています。

 この言葉が意味するところは、デバイスの大きさや基本ソフトの種類(Windows、Mac、iOS、Androidなど)に関係なく、Webブラウザさえ搭載されていれば、等しくクラウドサービスを受けられるということです。

 クラウドを利用するクライアントとして重要なのは、ブラウザが使えることであって、ハードウェアや基本ソフトではないということなのです。つまり、モバイルデバイスは、「クラウドの持つ機能や性能を、ブラウザを介して利用するためのデバイス」として誕生したのです。

 このように、クラウドの誕生時点で、クライアントはブラウザを使うことが想定されていましたが、クラウドがブラウザをクライアントとして選んだというよりも、ブラウザの技術革新がクラウド誕生のきっかけになったという見方もできます。

 そして、シュミット氏の言葉は、アプリケーションを動かす環境(プラットフォーム)が大きく変わることをも示唆していました。その意味をきちんと理解するためには、当時のクライアントがどのようなものであったか、それがどのようにクラウドにシフトしていったのかを整理しておかなければなりません。

●“Wintel”のシェア拡大とベンダーロックイン

 モバイルデバイスの登場以前は、Windows PCが一般的でした。PC市場の90%以上がWindows PCだった時期もあります。なぜ、それほどにシェアが高まったのでしょうか。そして、なぜいま、モバイルデバイスへの移行が始まったのでしょうか。

 初期のPCが登場した1980年代には、さまざまな企業がPCを開発、販売していました。なかでも企業ユーザーに信頼されていたのがIBM製品でした。その後、IBM互換機の参入により価格が下落、そのシェアを伸ばしたのです。

 互換機のシェアが高くなると、そのためのアプリケーションソフトが数多く開発されるようになり、さらに互換機のシェアがさらに伸びるという循環が生まれました。

 IBM製品と互換機には、Intelのプロセッサが使われていました。そして、Microsoftは、これらのPCで動くWindowsを開発し、この組み合せ(“Wintel”と呼ばれることがあります)が標準的なクライアントになったのです。

 一方、ソフトウェアを開発する側にとっては、いくつもの異なるプラットフォームが混在している環境は、それぞれに別々のソフトを開発しなければならず、手間もコストもかかります。そのため、最もシェアの大きいWintelでの開発が増えて、さらにシェアを拡大していったのです。

 しかし、この結果、ユーザーも開発ベンダーもWintelから逃れられなくなりました。このような状況を「ベンダーロックイン」といいます。

 ベンダーロックインは、ベンダーの裁量を許し、ユーザーの選択肢を狭め、高コスト化や技術の停滞をもたらす恐れがあります。しかし、クラウドの登場により、いま、この状況は、大きく変わろうとしています。

●著者プロフィール:斎藤昌義

 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。