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“35mmフィルム換算”とはどういう意味か?

7/4(火) 11:51配信

ITmedia LifeStyle

 とある打合せの席でのこと。「35mmフィルム換算ってよく聞くけど、あれ、よく分からないんだよね」と言われたのである。

これが計算サイト。各種計算をしてくれる

 考えてみたら、「フィルムカメラの経験がない」デジカメユーザーってどんどん増えているのだ。だからいきなり35mmフィルムとか35mm判といわれてもピンとこないのは当たり前。

 35mmフィルムとはどんなものかというと、こんなの。35mmのネガカラーフィルムを現像したものだ。

 幅が35mmだから35mmフィルムといわれてる。

 カメラはこのフィルムを横向きに使うので、実際の画像が記録されるのは横36mmで縦24mm。

 一般に「フルサイズカメラ」と呼ばれているカメラは「36×24mm」サイズのイメージセンサーを採用してる。

 さてここからなぜ「35mmフィルム換算」って言葉が出てくるのか。

 35mmフィルム換算って言い方をするのは「レンズの焦点距離」。

 焦点ってのは、文字通り焦げる点。

 虫眼鏡で太陽の光を黒い紙に集めると、ちょうど一点に集まったときに温度がぐっと上がって焦げはじめるって実験を小学生の時にした記憶があるのだが、今はどうなんだろう。

 まあいいや、焦点の語源はそれ。レンズを通った光が集まる点。

 焦点距離というのはそのときのレンズ(専門的には第二主点というのだけどまあそれはいい)と焦点との距離。

 この距離が長ければ長いほど写る範囲が狭くなる=狭い範囲が大きく写る=「望遠」になり、短ければ短いほど広い範囲が写る=「広角」になるわけだ。

 焦点距離が長いと望遠、焦点距離が短いと広角。

 話は単純。

 でも、どのくらい望遠なのかどのくらい広角なのかは「焦点距離」だけじゃ決まらない。撮像素子の大きさで大きく変わってくるのだ。

 先日レビューしたニコン「D7500」で使用したレンズ「AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR」の製品ページを見ると、こんなことが書いてある。

 焦点距離16-80mmなのに、35mm判換算で24-120mm相当というのだ。

 これはどういうことか。

 「画角」で説明すると分かりやすい。

 画角は実際に撮影される範囲を角度で示したモノ。

 画角が広いと「広角」、狭いと「望遠」になる。

 ここでカシオ計算機の「計算サイト」に登場願おう。

 まず「計算サイト」の「画角の計算」をチェック。

 イメージセンサーのサイズと焦点距離を入力すると、撮影される画像の画角を計算してくれる機能だ。

 まずは35mmフルサイズセンサーから。

 続いてD7500+16mmの計算だ。

 D7500はニコン流にいうと「DXフォーマット」。一般にいう「APS-Cサイズ」のセンサーを搭載している。

 APSというのはフィルムカメラ時代の末期に登場してさほど普及しないまま終わったフィルムの規格で、35mm判フィルムより一回り小さい。面積で半分くらい。APS-Cというのはその1つで、35mmフルサイズセンサーの製造がコスト的に難しかった時代にデジタル一眼レフ用として登場したセンサーサイズで、今でもポピュラーなものだ。

 そこで、「画角の計算」でイメージセンサーに「APS-C」、焦点距離に「16mm」を指定する。

 

 すると、フルサイズセンサー+24mmとAPS-Cサイズセンサー+16mmは計算上はほぼ同じということになる。

 異なるサイズのイメージセンサーで画角(実際に写る範囲)をそろえようと思うと、焦点距離が変わってくるのである。

 実際に撮影した画像で見比べるとこんな感じ(手持ちで撮影してるので微妙にずれてるけど、まあそこはご勘弁)。

 APS-Cサイズの16mmで撮影した写真は、35mmフィルムと同じ大きさのフルサイズセンサーの24mmで撮った写真と画角がほぼ同じなのが分かるかと思う。

 よって「35mm判で24mm相当」と呼ばれるわけである。

 35mmフィルム時代にカメラを使ってた人にはそれで「ピン」とくるんだけど、デジタルになってからカメラをはじめた人には分からないよねえ。

 そう思うのだけど、デジタルカメラが出た頃はフィルムカメラと対比させた方が分かりやすかったため、それで定着しちゃったのだ。

 ではもう1つ、マイクロフォーサーズで撮ったもので比べて見よう。

 マイクロフォーサーズだと焦点距離12mmが35mmフィルムの24mm相当になる(2倍すればいい)。

 さてよく見ると、α9やD7500で撮ったものにくらべて左右の写る範囲が少し狭い。

 それはなぜか。

 計算サイトの出番。

 実は対角画角は同じでも、水平画角と垂直画角が異なるのだ。

 35mmフィルムやAPS-Cサイズは画像の縦横比が3:2なのに対し、マイクロフォーサーズは4:3だからである。

 画角は基本的に「対角線画角」で比べるので、4:3だと横に少し狭く縦に少し広くなるのである。

 これがコンデジになるともっと極端になって面白い。

 1/2.3型センサーという普及型コンデジに使われる小さなセンサーを搭載したCOOLPIX A900の広角側は24mm相当だが、実際の焦点距離は4.3mmしかないのだ。

 でも写る範囲(画角)はほぼ同じという。

 ってことは焦点距離じゃなくて「画角」で表記すればセンサーサイズに関係なく統一できていいじゃないかと思わないのでもないが、すでに「35mmフィルム換算の焦点距離」で示すって慣習ができちゃったから、難しいよねえ。

 「画角が100度あるんだ」(35mmフィルム換算で18mm)というと広角っぽいけど、逆に「画角が5度しかない超望遠だぜ」(35mmフィルム換算で約500mm)といわれてもなんか迫力ないしね。

最終更新:7/4(火) 11:51
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