ここから本文です

農地被災リスク 土地利用と関係 ドローン計測 早く安く 農研機構、熊本県農研センター

7/4(火) 7:00配信

日本農業新聞

 農研機構と熊本県農業研究センターは、農地の被災リスクが過去の土地利用と関係していることを突き止めた。ドローン(小型無人飛行機)で農地を計測した結果と過去の文献などから、以前、水路があった場所で熊本地震の発生後に陥没が生じたことが判明。リスクを把握することで、全国の農地の防災対策に役立つ。ドローンによる計測は高精度で迅速、安価にできる。年度内にマニュアルを公開する。

 熊本地震を受けた2016年度の緊急対応研究で、農地の凹凸や亀裂の状況を迅速、安価に評価する方法を模索した。熊本市秋津地区の農地70ヘクタール前後の被害をドローンで計測したところ、規則的に凹凸が生じていることが判明。過去の文献や航空写真を参照した結果、基盤整備以前に水路があった場所に沿って陥没していることが分かった。

 国立歴史民俗博物館の研究報告から、以前は水路だった農地が全国にあることが分かっている。東日本大震災でも液状化被害は過去の土地利用と関係していた。ドローン計測の結果と過去の土地利用状況などを検証すれば、災害時のリスク把握や農地の防災対策に活用できる。湿害リスクなども分かるため、農地の凹凸に応じて明きょの切り方を変えるなどして排水対策にも応用できる。

 ドローン計測では、さまざまな角度から撮影し、100~400枚ほどの写真を基に農地の凹凸の状況を3次元的に再現した。レーザー測量と比べ、精度に差はないことを確認した。

 晴天であればすぐに計測でき、処理にかかる時間は面積にもよるが1週間ほどで済むという。飛行機手配に手間がかかり、処理に数カ月要するレーザー測量より早い。コストはドローン購入費で10万~20万円、画像処理のソフトウエア代で50万~60万円。レーザー測量の場合は面積が小さくても500万円ほどかかるため、人件費などを考慮しても3分の1以内に収まる。

 研究に携わった農研機構農業環境変動研究センターの石塚直樹上級研究員は「ドローン計測は迅速・安価にでき、精度も高い。過去の土地利用と合わせて検証することでリスクを把握でき、全国の農地に応用できる」と強調。ドローン計測のマニュアルは、農研機構のホームページなどで年度内にも公開する予定だ。

日本農業新聞

最終更新:7/4(火) 7:00
日本農業新聞