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「我々の任務は非常に特殊。他の艦船とは違う」強襲揚陸艦キアサージ

7/4(火) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

アメリカ海軍の歴史の中で、これまで4隻が「キアサージ」と名付けられた。

初代は南北戦争のときの帆船で、1864年にフランス沖で南軍の戦艦「アラバマ」を沈めた。

【画像】強襲揚陸艦キアサージ。それほど目立つ存在ではないが、艦隊にとって欠かすことはできない。

2代目はセオドア・ルーズベルト大統領の時代に、世界一周航海を行った大西洋艦隊「グレート・ホワイト・フリート」に所属の戦艦。

3代目の空母は、アメリカ初の有人宇宙飛行計画「マーキュリー計画」で、帰還した宇宙飛行士を海上から引き上げた。

そして現在の4代目は、強襲揚陸艦。それほど目立つ存在ではないが、艦隊にとって欠かすことはできない。

「我々の任務は非常に特殊。海軍の他の艦船とは違う。我々の任務は海兵隊を上陸させ、そして、彼らを引き揚げさせることに尽きる」とキアサージの甲板部士官クリスティアン・セダウスキィ(Christian Sedarski)中尉は語る。

また、医療設備も非常に充実しており、負傷兵だけでなく災害による被災者の受け入れも可能。受け入れ可能人数は600人で、海軍の大型病院船に次ぐ能力だ。

その多彩な能力によりキアサージは2010年8月、パキスタンの大洪水の際には救援任務に派遣され、その半年後には西へ移動し、リビアでの「Odyssey Dawn」作戦の支援任務についた。

世界中の戦場に、海兵隊員とその装備を送り込む強襲揚陸艦キアサージを見ていこう。

全長844フィート(257m)、吃水27フィート(8m)、排水量4万4000トン、最高速度は24ノット(時速44キロ)。

※吃水:船が沈む深さ。つまり船の一番下から水面までの距離。

デッキサイド式エレベーターが艦載機をフライトデッキに運び、必要物資は3基の貨物エレベーターが運ぶ。

水面からマスト上端までの高さは186フィート(約56m)。乗員は士官と兵員を合わせて1100人超、さらに約2000人の海兵隊員と装備を輸送できる。

フリートウィーク期間中は、艦尾のウェルドック(ドック式の格納庫)で乗員が来場者を迎え入れ、さまざまな装備を紹介した。

ウェルドックの上部には、ハンヴィー(高機動多用途装輪車両)やトラックなど様々な車両が。トラックの前方、来場者の頭上に大砲が突き出ているのが見える。

ウェルドックの下部には、水陸両用車両やエア・クッション型揚陸艇(LCAC)。

29トンの水陸両用強襲輸送車「AAVP7」は、海兵隊員21人を水上では時速6マイル(約9.6キロ)、陸上では時速20~30マイル(約32~48キロ)で運ぶ。

銃塔には、重機関銃を装備可能。

海岸に到着すると、海兵隊員は後方のベイドアから外へ出る。座席はあるが、かなり狭い。

「AAVC7」は、戦場での通信を担う指揮車両型。銃塔はなく、側面の増加装甲は銃撃や爆発から車両を守る。

「Assault Craft Unit 4」は、キアサージが搭載するエア・クッション型揚陸艇(LCAC)のうちの1隻。

LCACに搭載の水陸両用8輪装輪装甲車「LAV-AT」は、TOW対戦車ミサイル16発を装備。最高速度は水上で時速6.5マイル(約10キロ)、陸上で62マイル(約100km)。

「最大3隻のLCAC、28台程度のAAVを搭載可能。上部と下部の格納庫にはハンヴィーやトラックなどの車両を格納できる。海兵隊員とその装備がすべてこの艦にある」セダウスキィ中尉は述べた。

LCACは水上を時速60マイル(約96km)近くで航行、最大72トンの物資を輸送できる。最大積載時の吃水はわずか2フィート7インチ(約80cm)。平時には、人道支援や災害救助、油流出事故対応にあたる。

Assault Craft Unit 4にはFacebookページがある。活動の様子を動画で見ることができる。

艦尾のウェルドック。人員や車両が出入りする。

艦内の壁を飾るアート。

「当艦が所属するARG(Amphibious ready group:両用即応グループ)は、強襲揚陸艦、ドック型揚陸艦、ドック型輸送揚陸艦で構成される。いずれも装備、艦載機、人員を輸送できる」とセダウスキィ中尉。

「必要物資は月に2、3回、海上で補給する。軍事海上輸送司令部の艦が横付けして補給してくれる」

艦上に置かれた説明書によると、同艦には垂直離着陸機「シーハリア」6機、「オスプレイ」10機、攻撃ヘリ「コブラ」4機、さらにヘリコプターは、「スーパースタリオン」4機、「ヒューイ」3機、「シーナイト」3機が搭載可能。

CH-53E スーパースタリオン。艦尾近くのフライトデッキにて。

スーパースタリオンは、20~30人を輸送可能。

後部ベイドアから出入りする。

スーパースタリオンの内部。

UH-1N ヒューイ。

両側にロケット弾ポッドを装備。

AH-1W スーパーコブラ、別名「ウイスキーコブラ」。左側のエンジンカバーには、コブラが描かれている。

スーパーコブラは高い攻撃能力を持ち、ロケット弾ポッドとヘルファイア対戦車ミサイルを両側に、コックピット前方にはガトリング砲を搭載している。

このスーパーコブラは、フリートウィークに合わせてニュージャージーから飛行してきた。機体には9.11同時多発テロ追悼の意を込めて、ニューヨークの摩天楼が描かれている。

MV-22 オスプレイ。

横から。

オスプレイの後部ベイドア。

オスプレイ内部。24人乗れるが、かなり狭い。

フライトデッキを見下ろすキアサージの艦橋。

前部には、2種類の個艦防空システムを装備。左側は、21連装の近接防空ミサイル(RAM:Rolling Airframe Missile)ランチャー、射程距離は3.25海里(約6km)。その後方(右側)は、8連装のシースパロー艦対空ミサイルランチャー、射程距離9海里(約16km)。

中段にある円筒形のユニットは、キアサージの近接防御火器システム(CIWS:Close-in Weapons System)、通称「sea whiz」。最も内側の防空を担い、侵入してくるミサイルや戦闘機に弾丸の雨を降らせる。機関砲はスーパーコブラの正面に搭載されたものと似ているが、発射速度は毎分4500発とさらに速められている。

艦橋のクローズアップ。アンテナ、信号旗、ライト、マストが所狭しと並ぶ。

艦橋の後部は、マストと信号旗を備えたタワー。

中央部から見た艦橋。

緊迫するフライトデッキでは、プロフェッショナルたちにも安全喚起が不可欠。

[原文:Step aboard the USS Kearsarge, the US Navy workhorse that takes Marines to war]

(翻訳:Conyac)