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《ブラジル》バナナ王が成功の秘密講演=稲盛「ブラジルで日本人の魂を」=盛和塾公開講座に150人

7/4(火) 21:31配信

ニッケイ新聞

(ブラジル邦字紙「ニッケイ新聞」4日付)



 盛和塾ブラジル(山田勇次代表世話人)は「第3回盛和塾ブラジル公開講座」を6月23日、サンパウロ市のニッケイパレスホテルで開催した。当日はブラスニッカ社創業者で、ミナス州ジャナウーバ市市長を4年間務めた山田勇次さんによる講演が行なわれた。「バナナ王」の経験からビジネスのヒントを得ようと、会場には同塾生や駐在員など約150人ほどが来場して聞き入った。



 京セラの稲盛和夫現名誉会長が1983年、京都の中小企業経営者に経営指南を始めたのが盛和塾の始まり。現在、国内外96カ所で経営者を中心に1万1千人余りが塾生として学ぶ。

 山田さん(70、北海道出身)は子ども時代、父にブラジル移住を説得し、13歳で家族と共にサンパウロ州レジストロ市へ入植。父親の死や独立を経て80年代初頭、ミナス州ジャナウーバ市に移転し、ブラスニッカ社の礎となる事業を開始した。

 04年には盛和塾の第12回全国大会で、ゼロから始めて「バナナ王」と呼ばれるに至った経緯を発表し、日本の中小企業経営者の憧れ「最優秀賞」に、ブラジル代表として初めて輝いた。

 山田さんは講演の中で、バナナ園への灌漑施設導入について触れ、「単価の安いバナナに高い灌漑施設を取り入れる農家は他になく、周りから『あのジャポネスは何を考えているんだ』と揶揄された」と振り返った。しかし、雨量が少なく乾燥した土地なので、レジストロで悩まされた病気が発生せず、灌漑のおかげで安定した収穫が可能となった。


 バナナを仲介業者に安く買いたたかれたため、独自の直販ルートを確立し、現在は10カ所の卸販売所を運営している。

 「ある程度会社が大きくなった頃、成長に陰りが見え始めていた」と山田さんは話す。そんな折、盛和塾の存在を知り、96年に入塾。稲盛氏の教えに感銘を受け、「稲盛哲学に基づいて全ての判断をしてきた。従業員の心をつかむことがなにより大切。納得するまで3時間でも4時間でも話し続ける」との経営論を展開した。


 12年にジャナウーバ市長に就任。市長選では他候補からの嫌がらせにあったり、市長になった後も地元新聞社から金銭を要求されたりと、一筋縄ではいかなかった。

 苦難に直面するたび、山田さんは稲盛塾長から言われた「ブラジルで日本人の魂を実現させてください」との言葉を思い返したという。「初めはどういう意味か分からなかったが、市長を経験して政治も治安も不安定なブラジルで日本人の正直さ忘れずに、人を裏切らない姿勢の大切さを説いたのだ理解するようになった」と話す。

 来場していた駐在員の稲垣利典さん(53)は「山田さんが取り入れた稲盛経営哲学は『美しい心を持ちなさい』などとてもシンプルなもの。だからこそ実現が難しい」とのべ、山田さんの功績を称えた。

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 盛和塾ブラジルは、93年に同塾初の海外拠点として開塾。以降、サンパウロ市の他にパラナ、クリチーバにも事務局を設置していて、現在114人の塾生を擁している。サンパウロ市では毎月第一、第三金曜日に日本語による勉強会を開催中。日本の盛和塾は経営者が中心だが、当地では関心がある人は誰でも参加可能。参加希望や問い合わせは同事務局(電話:11・5595・8916、メール:adm@seiwajyukudobrasil.com.br)まで。電話は午後1時から午後5時まで対応。

最終更新:7/4(火) 21:31
ニッケイ新聞