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日銀短観に浮かぶ懸念、堅調な景気数字の裏に潜む不都合な現実

7/4(火) 19:00配信

日刊工業新聞電子版

■地政学的リスク、追い打ちかける人出不足

 日銀が3日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、堅調な国内景気の現状を再確認させた。だが一方で、構造的な人手不足が深刻化しつつあるとのメッセージも発信している点が気がかりだ。政府は2018年度予算で人材投資に重点配分するなど、経済成長を抑制しかねない人手不足問題に迅速に対応してもらいたい。

 6月短観は輸出の増加や個人消費の持ち直しの動きを反映し、大企業から中小企業まで企業規模を問わずに足元の業況判断指数が改善した。だが明るい材料ばかりが示されたわけではない。先行きの同指数は大企業から中小企業までそろって悪化しており、世界経済の下振れリスクや北朝鮮情勢などの地政学的リスクに対する警戒感がくすぶり続けている。

 さらに日本経済に逆風となりかねない人手不足が深刻化しつつある。6月短観によると、雇用人員が「過剰」と回答した企業割合から「不足」回答割合を差し引いた指数は、全産業ベースで大企業がマイナス16、中小がマイナス27と大幅な不足超。先行きに至っては順にマイナス18、マイナス33とさらに悪化すると見込んでいる。

 問題は、足元の人手不足が景気拡張だけを反映したものではないという点だ。生産年齢人口がピークだった90年代後半と比べて約1000万人も減少し、この構造的な問題が大きなネックとなっている。加えてIT人材不足が指摘されるように、高度人材を十分に育成してこなかったことも、労働需給のミスマッチを助長してきた。

 賃上げだけでは人手不足は解消しない。企業が求める技能を身につけた人材を早期に育成しなければ、日本の低い潜在成長率はいつまでも改善しない。

 政府は経済財政運営の基本方針(骨太方針)で、社会人の学び直しなどリカレント教育(生涯学習)や、永住申請が容易な日本版グリーンカードの積極活用による高度外国人材の受け入れ促進などの対策を盛り込んでいる。幼児教育無償化や待機児童解消といった少子化対策とともに、人材投資は待ったなしの状況にある。