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【MotoGPコラム】シーズン前半戦を戦い抜いた5人の日本人ライダー。彼らの後半戦の課題とは

7/4(火) 20:06配信

motorsport.com 日本版

 2017シーズンのMotoGPは、第9戦ドイツGPを終えて4週間のサマーブレイクに入った。満足し納得した気分でこの休暇に入ることができたのは、各クラスでランキングをリードする選手やチャンピオン争いで優位な順序につけている、ごくひと握りの数名のみだろう。大半の選手たちは思いどおりに前半戦を進められなかった反省や悔しさを抱え、後半戦で巻き返すための課題を持ってこの休み期間に入ったはずだ。

【写真】最軽量級のMoto3クラスでは、大集団の中で文字通り”揉まれる”レースも多い

 Moto2クラスとMoto3クラスを戦う5名の日本人選手たちも、その例外ではない。

 Moto3には鳥羽海渡(Honda Team Asia)、佐々木歩夢(SIC Racing Team)、鈴木竜生(SIC58 Squadra Corse)の3名が参戦中だ。

 世界選手権ルーキーの鳥羽は、第2戦アルゼンチンでトップ10フィニッシュを達成したが、その後は毎戦、後方グループの中で揉まれながらレースを終える展開が続いている。第9戦も、19番グリッドからのスタートで決勝は21位だった。

「序盤からリヤタイヤが滑って、前と離れては追いつき、また離れてしまって追いかけることの繰り返しで、全然攻めることができませんでした」と、レースを終えた鳥羽は不甲斐なさそうな口調で話した。

「序盤数戦はレースで順位を上げられていたけど、ここ数戦はそれができなくなっているので、後半戦は毎戦ポイントを取れるようにがんばります」

 自分の力を存分に出し切れない歯がゆさは充分に理解できる反面、日々の彼の言葉からは、前に出たい、早く上位陣に追いつきたい、という焦りのようなものも若干窺える。この空回りをうまく払拭して前へ進む力につなげていくことが、後半戦で実力を発揮するカギのひとつになるだろう。

 もうひとりのルーキー、佐々木歩夢は前半9戦のうち4戦でポイントを獲得。第9戦のドイツGPはポイント獲得圏内を争うグループで戦い、ふたつ及ばず17位でレースを終えた。

「このコースはタイヤの減りが早いことは練習走行の時から知っていたけど、序盤10周で第2グループに追いつくのにタイヤを使ってしまい、レース後半にはグループの中に入れたけどそのときはもうタイヤがキツくて、そのままグループの後方で抜くこともできないまま終わってしまいました」と、この日のレース展開を振り返った。

 決勝レースで上位集団に食い込むためにも、予選で良いグリッドを獲得することが今の佐々木の課題のひとつだ。

「なかなか狙いどおりにはいかないんですが、本来の力を発揮できないのも今の自分の実力なんだなあと思いつつ、それでも毎戦学ぶこともたくさんあるし、すごく難しいですけど、シーズン序盤に決めた目標はあえて変えずに、後半戦も自分に厳しくがんばっていきたいです」

 3年目の鈴木竜生は、ここ数戦、レースを重ねるごとに少しずつ改善を見せている。だが、ひとつ改善すれば次のハードルはさらに高くなる。それを着実に乗り越えてゆくことが後半戦の目標だ。第9戦は9位で終えたが、トップグループからは離された位置でのゴールになった。

「ウィークを通してあまり良くなかった今回のような場合でも、しっかりトップ10で終われたことはポジティブだと思います。ムジェロ(第6戦)からここまで、トップ集団と走る機会も増えて経験値は増えていますが、課題も浮き彫りになっているので、この夏休みにフィジカル面とメンタル面を鍛えて、後半戦に臨みます」

 Moto2クラスは、中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)が9戦中3戦で表彰台を獲得した。ただ、追突に巻き込まれる運のないレースなどもあって、3戦でポイント獲得を逃したために年間総合優勝は大きく遠ざかってしまったのが現状だ。ドイツGPではウェットコンディションの予選でうまくタイムアップを果たせず後方グリッドに沈み、レースでは懸命の挽回を狙ったものの、10位でゴールするのが精一杯だった。

「決勝レースではもっと上位まで追い上げられる自信があったのに、フリー走行で記録できた1分24秒台をレースでは刻めず、こういう結果になってしまって残念です」

 意気消沈というよりも、むしろ憤懣やるかたないといった表情で中上はこの日のレースを振り返った。鈴鹿8耐に参戦する中上はレース後即座に帰国し、7月5日と6日のテストに合流する。チャンピオンの座が遠く離れたとはいえ、後半戦で毎戦表彰台争いを続けるためにも、今回の8耐はライダーとしてさらにたくましさを培う絶好の契機になるだろう。

 長島哲太は、第9戦決勝はギヤ回りの不調とも戦うレースになり、ポイント獲得には及ばず18位でゴール。

「シーズン前半は、もっとポイントを取りたかったですね。ポイントを獲得できたのはヘレス(第4戦)だけで、バルセロナ(第7戦)ではフィーリングは良かったけど、転んでしまってポイント圏内を逃しました。それ以外では、納得できるレースができませんでした」と前半の9戦を振り返った。

「限界が近くなると、どうしても一定のマージンをとって走ってしまうので、それが前と離されてしまう原因のひとつにもなっています。その限界をもっと高くできるように、休みの間にしっかりとトレーニングを続けます」

 長島も、月末の鈴鹿8耐に参戦する。肉体面でも精神面でも苛酷な8耐は、トレーニングという意味では絶好の機会だ。

 2017年の前半9戦を終えて、彼ら日本人選手5名は必ずしも絶好調な快進撃を続けているわけではない。だが、「艱難、汝を玉にす」の古諺もある。この試練と真っ正面に向き合い乗り越えてゆくことができれば、その先には、したたかな強さという得がたい財産が彼らを待ち受けているだろう。

西村章