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「ヨーロピアンF3は将来への重要な意味をもつ」単身ヨーロッパで戦う佐藤万璃音に聞く

7/4(火) 21:56配信

オートスポーツweb

 多くのF1ドライバーを輩出し、今季も上を目指す若者たちが激しい戦いを展開しているFIAヨーロピアンF3。今季、牧野任祐(ハイテックGP)とともに参戦している日本人ドライバー・佐藤万璃音に、ノリスリンクで今季の戦いと、ヨーロピアンF3を戦う意味について聞いた。

■今シーズンは今のところ『最悪』
Q:去年はイタリアでF4に参戦していましたが、今季活動の拠点をFIAヨーロピアンF3にした理由は?
佐藤万璃音(以下佐藤):ヨーロピアンF3は、プロのレーシングドライバーを目指すうえで、通るべき重要な道だと思いました。F1はもちろんのこと、他のどのトップカテゴリーを目指すにも、ヨーロピアンF3は乗っておくべきカテゴリーだと思っています。

Q:ところで、英語が非常に流暢でびっくりしましたが。
佐藤:日本で英語の保育園に入園していたので、物心がつくずいぶん以前から日本語と同じように自然に話す環境にいました。特に意識して英会話学校に通ったというわけではありません。

Q:まず、どうしてヨーロッパでレーシングドライバーを目指すことになったのですか?
佐藤:レーシングカート時代に、ヨーロッパのさまざまな国を転戦していたので、ヨーロッパを基盤にするのが自然でした。言葉にも困りませんし、あえて日本でレースをする理由がなかったので、そのままヨーロッパに留まったようなかたちですね。中学3年生の秋から単身イタリアへ渡りました。

Q:ドイツのチーム(モトパーク)に所属しながら、イタリアを拠点にしている理由は?
佐藤:マネージャーやフィジオがイタリア人ということと、去年までイタリアF4に参戦していて、その時に住んでいたアパートにそのまま住んでいます。

Q:今季ヨーロピアンF3は早くも中盤戦に入りましたが、前半戦を思い返すと?
佐藤:はっきり言って『最悪』のひとことですね。ヨーロピアンF3へ参戦するにあたり、決して自分の実力を過信していたわけでも、自分自身に大きな期待をしていたわけでもありませんが、この状態はいけないと思っています。僕はもともと不器用で天才肌ではなく、結果を出せるようになるまで時間がかかるタイプですが、現在までノーポイントというのはダメですね。

Q:苦戦していた前半戦ですが、このヨーロピアンF3の難しさとは?
佐藤:ドライバー全員のタイムがとても僅差だということ(ノリスリンク戦の予選2回目ではポールから18番手までの差がわずか0.467秒)ですね。全員がほぼ同じラップタイムで走る予選の、トラック上で起きる状況判断やタイミングを計るのがとても難しいと感じています。セッションの後はエンジニアとデータ解析をしますが、データ上での自身のミスは明らかに分かり、その点でのアドバイスは得られますが、実際に走行中の状況やコンディションの判断は自分にしかできません。また、ほぼすべてのコースが初めて走るコースだということも苦戦をしている要因のひとつです。ヨーロピアンF3ではテストの回数が制限されていて、レースウイーク以外でほぼマシンをドライブする機会がほぼないという状況で、結果が求められます。

■他人がどうとかは関係ない。1秒でも速く走ることに集中
Q:今年はヨーロピアンF3に牧野任祐選手も参戦していますが、やはり意識しますか?
佐藤:彼とはカート時代からずっと一緒に戦っていたライバルであり、長年の友人でもあります。気にならないと言えばウソになりますが、現在の僕達ふたりは下位争いをしているグループにいるので、いい状況ではありませんね。ただ、彼の方が先にフランスのポーとノリスリンクでポイントを獲得したので、負けてはいられないと思います。彼はホンダのサポートを受けていていますが、それについてはうらやましいとかの感情はありません。

Q:ヨーロピアンF3には他にもメルセデスやフェラーリ、マクラーレン、フォースインディア等のF1チームやメーカーからのサポートを受けたジュニア達も多く参戦していますが、彼らにも意識はしませんか?
佐藤:基本的に他人に興味がない性格なので、他人がどうかということには関心がありません。自分が置かれた状況でどれだけベストを尽くすか、ということに集中しています。

Q:将来の目標は?
佐藤:『F1を目指す』ということだけには限っていません。ヨーロッパに拠点をおいてレースに参戦し、オフの日には違うカテゴリーのレースを観に行っていて痛感するのは、F1にいくチャンスがないだけで、F1マシンをドライブしたらすぐにでもタイムを出せるような、速くて実力のあるトップドライバーがゴマンといるということです。そのようなドライバーたちと日々接している上で、F1の限られたシートを得る状況が、経済的にも社会的にもいかに難しいかを目の当たりにしています。僕の将来はまったく未知の状態ですが、ヨーロッパにはさまざまなトップカテゴリーがあり、この先にどこへいくにしても、ヨーロピアンF3は将来を繋ぐ重要な意味をもっていると思います。

Q:今季残りのシーズンの目標は?
佐藤:まだポイントを獲得できていませんので、なるべく早くポイントを獲得できるように1秒でも速く走ることに集中し、トップ10の集団へ入り込めるようにしたいと思います。

Q:ところで、イタリアではどんな生活をしているのですか?
佐藤:ものすごい田舎に住んでいるので、基本的に食事は自炊です。トレーニングや他のカテゴリーのレースを観戦しにいく以外は、自宅でアニメを観たり、日本の通信制高校の勉強をしています。外国に暮らしていると、日本はインターネットの通信速度も速いし、ご飯もおいしいし、つくづくいい国だな、と思います。でもレースをするならやっぱりヨーロッパを拠点にするつもりです。

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