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テクノロジー発達でカンニングが42%増加? デジタル化で試験がなくなる日は来るのか?

7/5(水) 17:40配信

ZUU online

テクノロジーの進化に伴い、学力・能力試験や入学試験を含む「試験」という概念が変化して行くのではないか?という説が浮上している。

例えば音声起動技術による口頭で質問・回答できる試験制度の採用や、デジタル化で学習履歴を分析・測定することで試験自体を廃止するなど、学習環境が大きく様変わりする可能性が出て来た。

■採点作業もなくなり、労力の節約にも貢献

日常的な学習にインターネットが欠かせない時代となったにも関わらず、典型的な試験には今でもアナログな手法が用いられている。あらかじめ決められた試験日に生徒や受験生が教室、あるいは試験会場に向かい、席に着いて時間内に紙に書かれた問題の解答を鉛筆で書きこんで行く。

「テクノロジーで教育にさらなる改革を起こす」というアイデアは、過去数年にわたり議論されているテーマだ。

筆者が最も興味を惹かれるのは、Amazonの開発したAI(人工知能)アシスタント「Alexa」に代表される音声起動技術の採用だろうか。

すでに家庭での学習で音声起動技術を利用している生徒もいる。それならば音声起動技術を試験に採用するという発想も、決して不自然なものではないだろう。AD(紀元)1000年、インドの某大学では口頭入試を実施していたというが(ガーディアン紙より)、これこそ音声起動技術を試験に採用するという現代の発想と共通するものかと思われる。

試験場で生徒に与えられるのは紙と鉛筆ではなく、自分の思考力と声だけ。従来の試験では欠かせない採点作業といった余分な労力も省かれる。

あるいは答案用紙の代わりにタブレットなどのデバイスを採用するだけでも、効率性と透明性の向上という点で大きく貢献するはずだ。すでにオンライン試験などを実施している教育機関も見かけるが、全国統一試験のような大規模なものにも採用することで、新たな学習環境が生みだされるだろう。

■各生徒の学習履歴をデジタル化すれば、試験は不要になる?

「学習を完全にデジタル化してしまえば、試験自体が不要になる」との極論も出ている。
英国の教育機関、TESに教育関連の記事を寄稿している私立女子学校組合「ガールズ・デイ・スクール・トラスト」 のケビン・スタナード博士は、英国の義務教育(5歳17歳)修了に向け実施される全国統一試験「GCSE(General Certificate of Secondary Education)」を例に挙げ、従来の試験制度と現代社会間に生じたズレを指摘している。

学習内容の定着や理解力を測定することが試験の本来の目的だが、例えばデジタル化で常に学習成果を記録・分析することが可能ならば、スタナード博士が「学習したことを従来の試験で証明する必要があるのか」と疑問を唱えるのも不思議ではない。

デジタル化で生徒や教師が学習履歴をチェックすることで、個人の本来の実力に沿った学力が測定できるだろう。一夜漬けで勉強して実力以上の点数を獲得するよりも、余程正確ではないだろうか。「試験当日に緊張し過ぎて実力が発揮できなかった」という不運なトラウマもなくなる。

■テクノロジーでカンニング行為が42%増加

テクノロジーが学習に貢献すると期待されている一方で、試験に悪用されているという報告もある。

ガーディアン紙の調査によると、2012年から2016年にかけて、モバイル・デバイスなどを利用した英国学生のカンニング行為が42%も増えたという。露見していないものも含めれば、相当な件数にのぼると推測される。

ロンドンのクイーン・メアリー大学の試験では54件という最多のカンニング数が報告されているが、そのうち3分の2がテクノロジーを悪用したものだった。

カンニング・ツールとして利用されるのはスマホが多く、スマート・ウォッチや小型カメラなども見られたという。また上手に隠したワイヤレス・イヤホンを通してカンニングしていた生徒もいたが、監査官は見破れず、ほかの生徒による密告で初めて発覚したそうだ。このイヤホンはオンラインなどで一般販売されており、「カンニング用」と堂々と宣伝されていたというから驚きだ。

こうなるとやはり試験という概念が、「ひどく時代遅れ」である点を痛感せざるを得ない。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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最終更新:7/5(水) 17:40
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