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御殿場西高土屋琢、亡き父に活躍誓う 高校野球静岡大会8日開幕

7/5(水) 17:10配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 全国高校野球選手権静岡大会開幕が8日に迫った。常葉菊川(現常葉大菊川)高を選抜大会優勝に導いた森下知幸監督を昨夏迎えた御殿場西高野球部。3年の土屋琢朗前主将は指揮官交代によるチームの激動と、父の急逝という悲しみを乗り越え、特別な思いで高校最後の夏を迎える。

 昨年7月末、チームに衝撃が走った。「世界の違う人(監督)が来る」。主将になったばかりの土屋琢はその日の昼食がまったく喉を通らなかった。小山須走中時代は山梨県のチームに所属。高校は地元の仲間と一緒にプレーを、と同校を選んだ。小野晋吾氏(ロッテ2軍投手コーチ)らを輩出し、1992年の選抜にも出場した名門だが、近年は低迷していた。「甲子園は遠い目標。現実的じゃなかった」と土屋琢は振り返る。

 覇気に満ちた新指揮官の迫力に圧倒され、これまでと全く違う指導内容に戸惑うばかりだった。「自分も含めてチーム全体がおとなしかったから」。主将の重責に悩み、気持ちもプレーも萎縮し「何をやってもうまくいかなかった」。そんな折、野球を始めるきっかけだった父伸之さん=当時(43)=が病に倒れ2日後に他界した。

 気力を失い「部を辞めたい」と申し出たこともあった。主将を木須デソウザ・フェリペ捕手に託した。控え組で過ごすようになり、「自分のことを考える余裕が出た」。肩の力が抜け、野球の楽しさを思い出した。「フェリペを助けなきゃ」。今再び、チームのために汗を流そうと思う。

 森下監督の「さあ、行こうぜ琢朗」の呼びかけに、「よっしゃ」と土屋琢が応える。「楽しく野球をやっている姿を父に見せてあげられなかった。思い切り良くプレーし、活躍するのが恩返し」。白球を追う笑顔がはじけた。

静岡新聞社