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創業家の前社長のパワハラ・セクハラで30人以上退職…農機メーカー従業員が提訴へ

7/5(水) 17:49配信

弁護士ドットコム

農業機械メーカー「スガノ農機」(茨城県)の創業家出身の前社長から、日常的にパワハラやセクハラを受けたとして、複数の従業員が近く、損害賠償を求める訴訟を起こすことがわかった。従業員が加入する労働組合「東京管理職ユニオン」が7月5日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで会見を開いて明らかにした。労働組合側の代理人によると、7月中にも提訴する予定という。

●「これほどパワハラ、セクハラをやりまくっている社長もめずらしい」

スガノ農機は、今年で創業100年の農業機械メーカーで、創業家4代目の菅野充八氏が2006年に社長に就任した。東京管理職ユニオンによると、菅野氏は10年以上にわたって、従業員に対して、「アホか、ぶっとばすぞ」「お前なんか死ね」といった暴言・暴行などパワハラや、女性従業員へのセクハラを繰り返し、30人以上が退職に追い込まれたという。

菅野氏は今年2月の取締役会で、それまでの不適切な言動を問題視されて、代表取締役社長を解任された。ところが、菅野氏はその後も職場に立ち入ったり、臨時株主総会を開いて取締役就任を主張したり、会社の銀行口座から1億円以上を引き出すなど、「会社を私物化」するような行動をとりつづけているという。

社内の労働組合は3月、東京管理職ユニオンと合併。約160人の従業員のうち、役員を除く従業員151人が労働組合に加入した。これまで5度にわたって、菅野氏のパワハラなどを協議事項とする団体交渉を申し入れたが、菅野氏側は一切応じていない。労働組合側はすでに、菅野氏の取締役解任を求める訴訟を起こしたほか、暴行などで刑事告発している。

労働組合の代理人をつとめる棗一郎弁護士は会見で、「多数の従業員から聞き取りをしたが、これほどパワハラ、セクハラを日常的にやりまくっている社長もめずらしい。最も酷い部類に入る」「従業員が、二度と4代目(菅野氏)には会社に戻ってほしくない、自分たちの業務を指揮してほしくないと思っている。民事上の責任を裁判所に訴えていきたい」とコメントした。

●「採用面接で『性交渉したことがあるのか?』と聞かれた」

この日の記者会見には、従業員から19人が参加した。そのうち4人が実体験を踏まえながら、パワハラやセクハラの被害を訴えた。

営業職の有隅靖治さんは、菅野氏から「アホか、ぶっとばすぞ」などと罵声を浴びせられた。会見では、そのときの録音データが公開されたが、有隅さんは「当時の怒りや苦しさを思い出した。(社内には)セクハラやパワハラを受けた人間が、かなりたくさんいると思う。だけど、(菅野氏の)支配力や権力で、誰も声を出せなかった」と振り返った。

人事総務部長の綿引公幸さんは、菅野氏が採用時のパワハラ・セクハラも繰り返していたと説明した。入社辞退者に理由を聞くと、「(菅野氏から)『うんこやろう』『お前なんか生きる価値がない』と言われた。こんな社長のもとで働けない」と返ってきたという。綿引さんは「(菅野氏は)未来ある学生の夢をどれだけ打ち砕いてきたか・・・。絶対に戻ってきてほしくない」と語気を強めた。

人事担当の梅津良美さんは、採用試験で菅野氏による最終面接を受けた。その際、菅野氏から「彼氏はいるのか?」「性交渉したことがあるのか?」と聞かれたという。さらには、同社の制服のカラーが白色であることから、「下着が透けてしまうだろう」「月経のとき大変だろう」と言われたそうだ。

開発担当の安藤慎介さんは、「菅野氏の社長就任以降、毎日パワハラに耐える、あるいはパワハラから逃げる日々だった」と打ち明けた。ほかの従業員の前で、「お前なんかいらない」「こんな親に育てられる子どもはかわいそうだ。ろくな人間にならない」などと、安藤さん本人だけの人格否定だけでなく、家族のことも罵られたことがあるという。

弁護士ドットコムニュース編集部