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農業法人で人手不足深刻

7/5(水) 18:01配信

ニュースソクラ

手作業多い、養豚・養鶏・園芸分野で特に深刻

 新たな農業の担い手として注目される農業法人で、人手不足が深刻になっている。高齢化する農村で急速に事業を拡大する中、肝心の労働力の確保が追いつかない。経営者からは、外国人労働者の確保などを求める切実な悲鳴が聞こえてくる。

 「生産資材のコスト削減、6次産業化など、いろいろと課題はあるが、とにかく人材の確保が最優先。現場は人手が足りないという声で満ちあふれている」

 6月まで4年間、日本農業法人協会の会長だった秋田県藤岡農産社長の藤岡茂憲さんは、全国の農業法人が直面する最大の難関が、かつてない規模で進む人手不足だと言い切る。藤岡さんらは6月15日に開いた同協会の総会で「農業の成長産業化と地方創世に向けたプロ農業経営者からの提言」をまとめ、政府に提出した。数多くの具体的な「提言」が並んでいるが、断トツで緊急性を持つのが「人材確保だ」と言う。

 2015年の統計によると、昔ながらの農家である「家族経営体」は134万5000戸で、10年前に比べ32%減った。高齢化に伴う廃業などが理由だ。

 一方で、受け皿となる農業法人の「組織経営体」は2万3000戸で、同64%増えた。法人の常雇い人数は、同じ期間に6万1000人から9万9000人まで、実に6割増えている。被雇用を含めた2015年の新規就農者数は、6年ぶりに6万人を超えた。

 農業法人の数やそこで働く人の数は着実に増えているものの、農家の廃業のペースには追いつかない。「拡大する事業量に比べ全く足りない」と藤岡さんは解説する。

 大きな農業機械を使うことで省力できる稲作や畑作はやりくりができても、作業の多くを人手に頼る養豚や養鶏、園芸などの分野で特に深刻だ。地元の女性、若い人のアルバイトや、引退後の高齢者の雇用など知恵を凝らすが、地域で奪い合いになることも多い。

 最近、経営者の関心を集めるのが外国人労働力の確保だ。野菜や畜産経営の中には、外国人の働き手を抜きに存在できないような経営もある。国が設立した研修・技能実習制度に基づいて、「途上国の人づくり研修」という建前を掲げながら、実際には労働力として活用する。厚労省によると、農業以外も含めた実習生の総数はアジアを中心に19万人に達する。

 しかし、制度上は「実習」のため、さまざまな規制がかかる他、技術を習得したら帰国させるのが原則。経営者は常に補充と一からの教育に追われる。近年はアジア各国の所得向上に伴って、来日する実習生の「質低下」が問題になっている。

 そこで農業法人協会が求めているのが、外国人を正式な労働者として雇用する制度だ。政府は国家戦略特区で、農業分野の外国人材受け入れを始める。協会は、「一部の特区の後に、全国に制度を広げてほしい」という内容を提言書に盛り込んだ。実習生は安上がりだが、日本人と同じ待遇で質の高い外国人雇用者を採用する方が得策という判断から踏み切った。

 農村で農業法人がますます存在感を高める中、外国人材受け入れが進めば、農業の現場で働く人たちの多様性が広がることになりそうだ。

最終更新:7/5(水) 18:01
ニュースソクラ