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協調減産後も、ナゼ原油価格は下がり続けているのか 2つの理由

7/5(水) 16:00配信

日刊工業新聞電子版

■中長期で供給過剰、減産効果薄く

 石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国が5月末に協調減産の延長で合意したにもかかわらず、原油価格が下がり続けている。国際指標である米国産標準油種(WTI)価格は6月21日には42・53ドルと約10カ月ぶりの安値をつけた。

 背景には米国のシェールオイルの増産やOPECの存在感の低下がある。原油市場を取り巻く環境が変わる中、エネルギー大手は長期的な「石油需要のピーク」を見据えた準備も始めている。

 原油価格の下落の背景の原因のひとつは、OPECの減産対象除外国の生産増にある。減産対象11カ国の5月の日量は、2016年10月比113万バレル減の2984万バレルで減産厳守率は97%に達する。だが、政情不安定などの理由で減産対象から外されているリビアとナイジェリアの産油量が2カ国計で同30万バレル増とOPEC全体での減産効果を薄めている。

 二つめの原油安の理由が、あらゆる国際的な減産合意とは無縁な米国のシェールオイルの増産だ。米国の足元の原油生産量は約2年ぶりの高い水準にある。

 米国の原油生産の半分程度がシェールオイルだが、掘削コストがかさむのが課題だった。最近は、技術革新で新規開発の際の採算コストを従来の1バレル当たり50ドル程度から、同40ドル前後まで下げられる業者も出てきている。米調査会社が公表した6月2日時点の石油掘削機(リグ)数は22週連続増加の747基で過去2年間で最高水準にある。

 最近は米エクソンモービルのような石油メジャーもシェールへの投資を強化している。「彼らは価格が下落してもシェールへの投資を継続する。これまで見られたような価格下落による生産の停止や減産は起きにくくなる」と石油元売り関係者はみる。

 OPECにしてみれば、さらなる減産で価格の上昇を試みたところで、損益分岐点が下がったシェールオイルの増産を後押しすることになりかねない。こうしたシェールオイルの生産状況もあり、市場は中長期では供給過剰になるのではとの見方が支配的で、原油の上値を抑えこんでいる。

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