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ウナギ偽装が町家再生を直撃 事業者逮捕、飲食店改装工事止まる

7/5(水) 17:30配信

福井新聞ONLINE

 福井県坂井市三国町旧市街地にある大正時代の町家「旧大木道具店」の保存・再生事業が迷走している。道具店を店舗として活用してもらうため、市が選んだ最初の事業者は辞退。次に事業者に選んだ企業も経営者が愛知県警に逮捕され、事業者の変更が不可避の状態となっている。道具店を取り巻く異例の展開に地元関係者は戸惑っている。

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 道具店は、旧森田銀行本店などが並ぶメイン通りに面し、瓦ぶき木造2階建てで蔵も併設されている。一帯のランドマーク的な存在だが、ここ数年空き家になっていた。


 市は昨年、道具店の保存・再生へ店舗運営してくれる事業者を募集。福井市出身の夫婦を事業者に選んだが、夫婦は諸事情で辞退した。今年の再公募で、今回逮捕された経営者が、三国の食材を提供する洋食のレストランやカフェを提案。この企業を事業者に選んだ。


 しかし、この企業が経営する福井市のハピリン内の飲食店で中国産ウナギを国産と偽って提供したとして、経営者は不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで6月27日に逮捕された。


 道具店の保存・再生へ向けた坂井市の助成は支度金と改修補助費用合わせ2200万円。逮捕を受け市は支度金200万円の支払いを保留、市が単独で行う母屋と蔵をつなぐ廊下の工事の着工も見合わせた。


 市は、経営者が起訴されるかどうかを見極めた上で、今後の対応を決める方針。ただ「起訴、不起訴にかかわらず、産地偽装で逮捕された事実は残る。飲食店にとって大きな痛手で、このまま事業を継続してもらっても集客があるかどうか」と市の幹部が話すように、今回の逮捕が事実上の“赤信号”との見方が支配的だ。


 旧市街地の活性化に取り組む一般社団法人三國會所の大和久米登理事長は「今後どんな展開になろうと、道具店の活用に向け、市や県には最善の策を講じてもらいたい」と訴える。

 道具店は既に、屋根のふき替えを終了している。別の地元関係者は「屋根だけが新しくなった今の状況ではかえって景観を損ないかねず、旧市街地全体のイメージダウンになる。道具店全体が改修され、旧市街地ににぎわいをもたらす事業が展開される日が早く来てほしい」と話している。

福井新聞社