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4割がトラブルを経験!賃貸退去時のトラブルを防ぐために、やるべきことは?

7/5(水) 7:02配信

SUUMOジャーナル

ハウスメイトパートナーズが、賃貸住宅でのひとり暮らし経験があり、引越し経験のある20代~40代の男女を対象に、「引越し時のトラブル経験」を聞いたところ、「失敗・トラブル(になりそうだった)経験がある」という回答が4割以上もあったことが分かった。どんなトラブルなのだろうか? 防ぐ方法はあるのだろうか?

【今週の住活トピック】
「引っ越し時のトラブル経験」に関する実態調査の結果を発表/ハウスメイトパートナーズ

■若かりしころの筆者も、賃貸住宅の退去時に法外な修繕費を支払ったことが……

実は筆者は、転職して住宅情報誌の編集に携わる前、つまり住宅に関する知識を全く持っていなかったときのことだが、賃貸住宅を退去した際にトラブルに遭ったことがある。

オートバイの赤いヘルメットの塗料がほんの少しだけ壁紙に付いていたのを、不動産会社(賃貸管理を任されていた会社)の人に見つけられた。そして、そこだけ張り替えると他と合わないのでと、壁紙を全面張り替える費用を請求されたのだ。

当時の勤務先では借り上げ社宅扱いになっていたので、「どうせ会社持ちでしょ」と言われ、「退職するから自分持ちだ」と伝えても高額の請求がされた。退職のための退去でなければ、当時の会社の総務部などに適正な請求がどうか相談しようと思ったのだろうが、当時は初めての賃貸暮らし、初めての退去経験だったので、それが当たり前だと思って泣く泣く費用を払った記憶がある。

今なら、「そこまで負担する必要はない」と即座に突っぱねることができたのだが……。
ところが、同じような経験をした人が意外に多いのだということが、調査結果を見て分かった。

■敷金を超える法外な金額を請求される事例も多数

この調査で「ひとり暮らしの賃貸住宅から引越すとき、失敗したと感じた経験や、トラブルになった(なりそうだった)経験があったか」を聞いたところ、42.6%が「ある」という結果だった。

「ある」という人にその内容を聞いたところ、「敷金が戻ってこなかった」31%、「入居したときからあった傷や汚れの修繕費を請求された」27%など金銭的な負担に関するものが多かった(画像1)。その結果、入居時に預けた敷金ではカバーできず、出費が必要になった人が27%もいた。

例えば、ヘビースモーカーで室内の壁紙が茶色に変色してしまった場合、煙草のヤニがクリーニングで除去できないレベルであれば、壁紙の張り替えが必要となり、その費用は入居者が負担することになる。
しかし、筆者の事例のような所有物の塗料のわずかな付着であれば、日常生活の範囲内なので負担する必要がないか、大きな付着で張り替えが必要となった場合でも一部(1m2など)の張り替え費用を負担すれば済むのが基本的な考え方だ。

こうした退去時における原状回復をめぐるトラブルを未然に防止するために、国土交通省では、一般的な賃貸借契約の考え方や裁判例、現場実務などを考慮して、原状回復の費用負担について妥当と考えられる一般的な基準を「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を作成し、公表している。

2017年5月26日に成立し、6月2日に公布された「民法の一部を改正する法律」(改正民法)でも、賃貸住宅の敷金を原則返還することや、借主が負う原状回復の内容が明文化された。これは、上記の国土交通省のガイドラインに即した内容となっている。

改正民法は公布後3年以内に施行されることになっており、2020年春までには施行されると想定されるので、今後より適正な費用負担が求められるようになることを期待している。

■法外な補修費用を請求されないようにする方法はある?

今回の調査では、退出時に失敗・トラブル(になりそうだった)経験が「ない」と回答した人に、「賃貸入居時、退出時に気を付けていることがあるか」を聞いている。「特にしていない」という回答が34.1%あった反面、過半数の人が実施していたことは「退去や入居の連絡・相談は早めにする」(53.1%)。

ほかにも「契約書を細かく読む」(31.1%)、「入居や退出のときに、写真を撮る」(21.4%)といった、入居時からトラブルをなくすよう意識して行動することが、トラブル防止に役立つことが分かる結果となっている。

退去時の原状回復費用をどちらがどこまで負担するかは、基本的な考え方をガイドラインで提示しているが、実際には個々の契約内容によって変わってくる。ガイドラインとは異なる費用負担の「特約」を付けて、契約を交わすことは可能だからだ。

したがって、「契約書を細かく読む」ことは最低条件。そのうえで、トラブルになりがちな「退去時の汚れや傷が入居時からあったものかどうか」を記録しておくことが重要だ。

大家さんまたは賃貸管理の不動産会社にも立ち会ってもらい、室内の状況(設備の不具合や室内の汚れや傷などの有無)を一覧表にしておく(国土交通省のガイドラインにチェックリストがある)などが理想的だ。立ち会いが難しい場合は、入居者が写真を撮って記録を残しておくことも有効だろう。

このように、退去時にトラブルにならないようにするには、実は入居時の行動がカギになる。
・契約書をよく読んで、疑問があれば質問をしたり交渉をしたりして、納得した上で契約を交わすこと
・家具を搬入する前の状態で室内の状態を的確に把握しておくこと
契約を焦ってしまったり、物件さえ決まればいいと安易に考えたりしないことが肝心だ。

それでも、退去時にトラブルになりそうになったら、地方自治体の相談窓口や消費生活センターなどに相談するとよいだろう。

山本久美子