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英国内の過激思想、最大の海外要因はサウジ=報告書

7/5(水) 15:18配信

BBC News

ロンドンの外交シンクタンク「ヘンリー・ジャクソン協会」は4日、英国内で過激思想が広がる最大の海外要因となっているのはサウジアラビアだとする新たな報告書を発表した。

同協会は、海外から資金提供を受けるイスラム主義組織や憎悪を語る説教師、暴力を推進するイスラム教聖戦主義(ジハード)組織との間に「明白で、強まりつつあるつながり」が認められたと指摘した。

ヘンリー・ジャクソン協会は、サウジアラビアやほかの湾岸諸国の関与について公開調査を実施するよう訴えた。

英国のサウジアラビア大使館は、報告書の主張について「完全な虚偽」だとしている。

英政府に対しては、国内に拠点を置くイスラム主義組織について報告書を公表するよう、要求が上がっている。

2015年には、当時のデイビッド・キャメロン首相の指示を受けて、内務省が聖戦主義組織の存在と影響力について報告書をまとめようとしたものの完成しなかったとされ、公表が危ぶまれている。

政権を批判する人々は、サウジアラビアをはじめとする湾岸諸国と外交、安全保障、経済の各方面で長年にわたり緊密な関係を築いてきた英政府にとって、このような報告書は都合が悪い内容だったのかもしれないと指摘してきた。

ヘンリー・ジャクソン協会による4日付の報告書では、過激思想を持つ説教師を受け入れ、過激思想の文書などの拡散に関与したとみられているモスク(イスラム教礼拝所)やイスラム教教育機関に対し、多くの湾岸諸国やイランが資金援助をしていると指摘している。

最大の役割を果たしていると指摘されたのがサウジアラビアで、報告書は多くの事例を挙げて、個人や財団が「反リベラルで偏狭なワッハーブ派の思想」の輸出に深く関与していると非難した。

報告書は、サウジアラビアから資金援助を受ける英国の組織について、一部の限られた事例ではサウジアラビアが直接運営しているが、多くの場合は「外国人献金者の影響力を買う」ために資金が使われているようだと指摘した。

「暴力的な過激思想」

ロンドンのサウジアラビア大使館は文書で、同国が少数の人数を過激化させたなど「根拠がなく、説得力のある証拠がない」と反発。むしろサウジアラビアは、過激派組織アルカイダやいわゆる「イスラム国」(IS)からたびたび攻撃されていると反論した。

大使館は、「暴力的な過激派による行為や思想を容認しないし、今後も容認しない。このような逸脱者やその組織がつぶされるまで、我々は手を休めない」と表明した。

BBCのフランク・ガードナー安全保障問題担当編集委員は、今回の報告書は、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、エジプトの4カ国が、カタールが過激思想を支援しているとして、同国への対立姿勢を強めている微妙な時期に発表されたものだと指摘する。報告書はサウジアラビアなどの行為が偽善的だと非難している。

4カ国の外相は5日にカイロで会議を開き、カタールに対するさらなる制裁について協議する。一方、カタールのムハンマド外相は、ロンドンで開く記者会見で同国の主張を説明する予定。

「懸念すべき」つながり

野党・労働党のダン・ジャービス下院議員は今回の報告書を支持し、サウジアラビアと過激思想への資金援助との「非常に懸念すべき」つながりに光を当てていると指摘。海外からの資金援助に関する報告書を公表するよう、政府に求めた。

同議員は、「今年我々が経験した悲惨で悲劇的なテロ攻撃を考えれば、社会を守るため、あらゆる可能な手段を使うことは非常に重要だ」とし、「それには、過激思想を推進し支援するネットワークを特定し、それを支える資金の流れを止めることが含まれる」と述べた。

ジャービス議員はさらに、市民社会における過激思想の事例を発見するために現在提唱されている新組織、対過激思想委員会が、英国内の組織に対する海外からの資金援助を最優先で取り組むべきだと語った。

今年4月にサウジアラビアを訪問しているテリーザ・メイ首相は、同国との歴史的な関係は英国の安全保障と貿易にとって重要だと繰り返し主張している。

ジェレミー・コービン労働党党首は、サウジアラビア国内の人権問題やイエメンでの軍事行動を理由に、サウジアラビアに対する武器輸出を即時一時停止するよう求めている。

(英語記事 Saudi Arabia has 'clear link' to UK extremism, report says)

(c) BBC News

最終更新:7/5(水) 15:18
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