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小西康陽とスポーツの「意外な関係」 リオ・パラリンピック閉会式「東京は夜の七時」への思いは

7/7(金) 7:00配信

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 リオ・パラリンピックの閉会式で、「東京は夜の七時」が使われた音楽家の小西康陽さん。実は野球少年だったという小学生時代や、札幌オリンピックを生で観戦した思い出、市川崑監督の映画「東京オリンピック」「第50回全国高校野球選手権大会 青春」に受けた衝撃など、「音楽とスポーツ」をテーマに話を聞きました。(朝日新聞記者・神庭亮介)

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毎日、野球の記事をスクラップ

 ――子どもの頃に夢中になったスポーツは。

 ずっと体育が苦手だったんですが、小学4・5年生ぐらいでなぜか野球に目覚めまして。川上巨人の時代、ONがいて、末次(利光)や柴田(勲)、黒江(透修)もいて……。新聞のスポーツ欄の「ホームラン十傑」「打率十傑」みたいな記事を、毎日スクラップしていました。

 1968年に日米野球でセントルイス・カージナルスが来日して、その頃が自分の野球ブームのピークでしたね。残念ながら野球少年だった期間は本当に短くて、69年からは音楽に目覚めてレコードを買うようになるんですけど。


 ――野球少年だったとは意外です。

 自分でも意外です(笑)。


 ――著書『ぼくは散歩と雑学が好きだった。』には、「神宮球場で野球を観ながら飲むビールも最高だ」「スポーツ観戦にビール、と考えたら頭の中でカウント・ベイシー楽団の演奏が鳴り出して止まらなくなった」とありますね。

 大学生以降、友達とたまに神宮球場に行っていた時期があったんです。でもそれはビールを飲むのが目的で、勝っても負けてもいいでしょ、という感じでした(笑)。

「湿度」を減らす、さりげない音楽

 ――市川崑監督が高校野球を追いかけた「第50回全国高校野球選手権大会 青春」のDVD化にあたって、推薦文を寄せていらっしゃいます(8月2日発売予定)。市川監督というと「東京オリンピック」が有名ですが、高校野球も撮っていたのですね。

 作品の存在は知ってたんですけど、今回商品化されるということで初めて見て、感激しました。映画に出てくる高校野球の50回大会があったのは、ちょうど僕が野球に夢中になっていた1968年。唯一、テレビで見ていた大会だったことも大きかったです。


 ――試合のシーンでジャズが流れるなど、音楽の使い方が印象的です。

 音楽は誰だろうと考えながら見ていて、最後のクレジットに山本直純さんの名前があったので、「ああ」と腑に落ちました。「男はつらいよ」をはじめ、素晴らしい映画音楽を残している方です。

 山本さんは森永エールチョコレートの「大きいことはいいことだ」っていうCMにも出ていて、60年代に子どもだった僕ら世代には特別なスター。日本で最も有名な音楽家だったんですよ。

 「青春」では、センスのいいウエストコースト・ジャズをさりげなく使ったりして、「湿度」を減らしています。市川監督や脚本家の一人である谷川俊太郎さん含め、ヒューマニズムど真ん中の精神を持ちながら、あえて少しズラしている。そのセンスがすごい。

 「巨人の星」とか「あしたのジョー」とかスポ根全盛の時代に、「感動」をうまく外しているんですよね。市川さん自身は野球大好きな人だったはずなんですけど。なので、熱心な高校野球ファンがこの映画を見たら、少し戸惑うかもしれません。


 ――「東京オリンピック」の方はどうご覧になりましたか。

 とにかく、あの映画は素晴らしいですよ。外国人の観客を映したシーンとか、選手や競技ではない何げないショットに魅力を感じます。バート・スターンの「真夏の夜のジャズ」のような趣がありますね。

 市川さんには、「東京オリンピック」で得たノウハウをもう1度どこかで試したい、という作家としての思いがあったはず。そういう意味でも、高校野球は格好の題材だったんじゃないでしょうか。

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最終更新:7/18(火) 15:44
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