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[経営戦略]住設・雑貨特化のヤマダ新業態、家電量販独自の仕掛けが充実

7/6(木) 12:00配信

BCN

[経営戦略]住設・雑貨特化のヤマダ新業態、家電量販独自の仕掛けが充実

新業態1号店「インテリアリフォームYAMADA前橋店」の外観

 消費者の生活に密着した新規事業の成長を加速させているヤマダ電機が、リフォームに特化した新業態店舗「インテリアリフォームYAMADA前橋店」を6月30日にオープンした。これまでも店舗の一角でリフォームコーナーを展開してきた同社だが、リフォームを前面に打ち出した店舗は今回が初めて。第1号店が創業地の群馬県前橋ということからも、新業態にかける熱意がうかがえる。店舗取材で印象的だったのは、家電量販ならではのユーザーの購買欲を刺激する仕掛けだ。

●周辺店舗と連携 大規模な生活提案空間に

 2014年12月~17年2月に営業していたリユース・アウトレット専門店「ヤマダ・再楽館 前橋店」をリニューアルした「インテリアリフォームYAMADA前橋店」。1階に駐車場、2階・3階に売り場を構えるお馴染みのピロティ形式で、外観は通常の郊外型テックランドと変わらない。

 しかし、エスカレーターを上った先に広がる空間は従来のヤマダの売り場とは明らかに異なる。床はフローリング、天井は電球色のLED照明、入口横のワゴンには洗剤や掃除シートなどの日用品が並ぶ。販売員の服装も、青のポロシャツに黒いエプロンという初めて目にするスタイルだ。

 もう1階上のフロアに移動すると、さらに雰囲気は一変する。2階より照明を抑えた空間に家具・家電・住宅設備をトータルコーディネートした展示が出現。その奥にはベッドやソファなどの家具を陳列する。

 「インテリアリフォームYAMADA前橋店」の参考事例になっているのが、17年3月10日に大阪・豊中市にオープンした「LABI LIFE SELECT 千里」だ。2階に注文住宅・ハウスメーカーのSxL(ヤマダ・エスバイエルホーム)ショールームを設け、生活提案型の売り場を構築。オープンから3か月が経過したが、一店舗内で家電からリフォーム、住宅まで住まいに関する要望を完結する新しい試みは好評を得ているという。

 「インテリアリフォームYAMADA前橋店」が「LABI LIFE SELECT 千里」と異なるのは、一店舗完結でなく周辺のヤマダの店舗と連携することでエコシステムを構築している点だ。約200m圏内に「テックランドNew前橋本店」とヤマダ・ウッドハウスのモデルハウスがあるので、雑貨や住設に特化できる。社員はアルバイト・パートを含めて40名体制、内3名はインテリアコーディネーターの有資格者だという。

 リユース・アウトレット専門店時代は目的買いの顧客がほとんどだったが、新店はファミリー層や若い世代までターゲットにする。「テックランドNew前橋本店」と相互送客することで、2店舗合計の売上高を従来の約1.5倍まで伸ばす計画だ。片方の店舗で一定額の買い物をした顧客には、もう片方の店舗でポイントがアップするクーポンも配布する。

●来客頻度を意識したインテリア雑貨フロア

 各フロアの特徴を詳細に分析していこう。まず、インテリア雑貨を中心に取り扱う2階フロア。壁沿いにカーテン、敷物、収納ケースなど大型のインテリア商材、中はバス・トイレ用品や食器など、雑貨や日用品が並ぶ。イメージはホームセンターに近い。

 季節柄、寝具コーナーは特に充実。熱吸収や通気性にすぐれた敷パッドや布団セットはオープニングセールの目玉ということもあり、多くの来店客で賑わっていた。ひんやりした素材の抱き枕などを各所に配置し、女性や子どもを意識した売り場づくりの工夫も垣間見えた。

 レジ奥には理美容や健康、掃除関連の家電アイテムも展示。インテリアや雑貨がメインだが、親和性のあるカテゴリであれば通電製品も合わせて販売する。

 オープニングセレモニーで桑野光正 代表取締役社長 兼 代表執行役員COOは「2階はお客様に頻度高く来客してもらいたい」と述べたように、全方位の生活の困りごとを解決するための提案ができる売り場という印象だ。

●家電量販のノウハウが凝縮 独自の展示と販売手法

 一方、リフォームと家具のフロアである3階はガラリと雰囲気を変え、ラグジュアリーな空間を演出する。最大の特徴は「料理と家事を楽しむ二世代家族のコミュニティ住空間」や「おじいちゃん、おばあちゃんがゆっくり寛げる快適空間」のような分かりやすいキャッチフレーズで、部屋のコーディネートを丸ごとレイアウトしたシーン提案だ。

 一般の家具専門店であれば、テレビやキッチン家電はモックを利用することが多いが、そこは家電が本業のヤマダ電機。家電も部屋に合う最新モデルをピックアップ。しっかり値札も付いており、セットで提案することが可能だ。

 ヤマダ電機ならではといえるポイントは他にもある。例えば、シーン提案のコーナー前にあるディスプレイ。これは「間取リッチVR」というリフォーム・家具・家電の配置イメージをVRで体感することができるサービスだ。QRコードを読み取ることで、自宅にイメージを持ち帰ることもできる。

 支払方法の提案にも家電量販店の知見が生きている。すべてのシーン展示で、リフォーム・家具・家電にかかる費用を月々分割金額で表示。一括だと数十万円の展示も「月々4000円」と表記すれば、トータルコストは変わらないにしろ顧客にとっては実現性を帯びる。高額だからこそ、きっかけづくりを重視する考え方は家電販売に通じるものがある。

 シーン展示が空間を贅沢に使っているのに対して、カテゴリごとの商品展示は品数を重視。壁にも床にも所狭しとアイテムが並ぶ。家具専門店ではここまで圧縮した陳列はあまり見かけない。

 “ゆったりとした空間”というコンセプトに矛盾するようだが、シーン展示を間に挟んだり、目抜き通りは広くスペースを確保するなど、来店客に息苦しさを感じさせないよう絶妙なバランスをとっている。

 時間をかけて品定めをする顧客が多いフロアなので、息抜きのスペースも用意して、エスカレーターのすぐ側にはカフェスペースを設置する。また、ユニークなのが入口付近にズラっと並んだマッサージチェアだ。家電量販店で顧客がマッサージチェアで休息をとる姿は定番だが、その仕掛けを今回の店舗にも導入した。もちろんマッサージチェアは販売対象の商品だ。

 ヤマダ電機によると、今回の出店を皮切りに新業態店は年間約5店舗のペースで出店していく予定だという。17年1月にBCNの取材に応じた桑野光正 代表取締役社長 兼 代表執行役員COOは「新規事業の成長は、最終的に既存ビジネスの成長に直結する」と語ったが、新業態店はまさに新規・既存のビジネスが相乗効果を創出するための仕組みといえそうだ。(BCN・大蔵 大輔)

最終更新:7/6(木) 12:00
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