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大洗研被ばく1カ月 ずさん管理、次々に 規制委、異例立ち入り検査

7/6(木) 10:00配信

茨城新聞クロスアイ

日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」(大洗町)の作業員被ばく事故は6日で発生から1カ月。原子力規制委員会は異例の立ち入り検査に乗り出し、機構のずさんな安全管理体制が次々に明るみになってきた。廃止が決まった施設で起きた事故。東海村で原子の火がともってから60年を迎える中、機構は「負の遺産の後始末」(規制委)という重い課題にも直面している。

事故は6月6日午前11時15分ごろ、同センター「燃料研究棟」の分析室で発生した。50代の機構職員が点検のため貯蔵容器のふたを開けたところ、核燃料物質が入るポリ容器を包んでいたビニールバッグが破裂し、放射性物質が飛散。現場にいた作業員5人が内部被ばくした。

容器に入っていたのは過去の実験で使われたプルトニウム酸化物とウラン酸化物。1991年に容器に密封されて以降、一度も開けられずに保管されてきた。

破裂の詳しい原因は調査中だが、事故後の調査で容器内には核燃料物質を固定するために使った接着剤(エポキシ樹脂)が混ざっていたことが判明。樹脂が放射線で分解されてガスが発生し、内圧が上昇した可能性が高く、機構は7月末には推定原因を示す。



事故の「兆候現象」は過去に別の施設で起きていたが、安全対策に重要なはずの情報は組織内で共有されなかった。

同じプルトニウムを扱う東海村の研究施設で2004年、放射性物質が入る袋が膨らんでいた。中身に含まれた樹脂が放射線で分解され、ガスが発生したのが原因だった。機構は今年に入りこの事象を各拠点に通知したが、燃料研究棟の担当課長や作業員に具体的な注意喚起はされず、袋の破裂は「想定外」のまま作業計画が作られた。

事故後の対応も後手に回った。放射性物質で汚染された作業員を現場から退出させるには、部屋の外に除染などを行うスペースを作る必要があったが、作業に手間取り、現場に3時間以上待機させられた。機構は「必要な資材が燃料研究棟にはなく、設置訓練も実施していなかった」とする。

規制庁の事故後の立ち入り検査では、燃料研究棟の除染用シャワーが故障しており、作業員は別の建屋から引いたホースで体を洗っていたことが判明。十分に除染できず、その後の内部被ばく検査の過大評価につながった可能性がある。

記者会見で「シャワーで除染した」と強調してきた機構の広報担当者は「現場からの情報がなく、知らなかった」と弁明している。



事故は閉鎖が決まった施設で、中身のよく分からない古い核燃料物質を扱う過程で起きた。機構は昨年、全国88施設のうち42施設を廃止する方針を打ち出し、原子力施設の「後片付け」はこれから本格化する。

廃止が決まった燃料研究棟の常駐職員(嘱託含む)はわずか4人。事故後、規制委の更田豊志委員長代理は「負の遺産の後始末に十分な予算や人員が与えられているか。今回の事故が示すように安全に影響する問題」と指摘し、機構が置かれた状況に危機感を示す。 (戸島大樹)

茨城新聞社