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尾崎英二郎がリドリー・スコット製作総指揮の大ヒットドラマに抜擢された理由

7/6(木) 10:10配信

シネマトゥデイ

 近年、NetflixやHuluといったオンライン動画配信サービスのオリジナルシリーズは、一層存在感を増している。各社がしのぎを削る中、Amazonスタジオが総力を挙げて2015年に世に送り出した「高い城の男」は、これがドラマなのかと驚嘆するほどの映像世界が展開するSFサスペンス。原作は、第2次世界大戦で枢軸国が勝利し、アメリカがナチス・ドイツと大日本帝国に分割統治されたパラレルワールドを描いた、ヒューゴー賞に輝くSF小説の大家フィリップ・K・ディックの同名小説。原作の新たな解釈のもと、現在の社会情勢を深読みできるオリジナリティーのあるスリリングな物語に、製作総指揮を務めるリドリー・スコット率いるスコット・フリー・プロダクションによる圧倒的な映像美も圧巻で、高い評価と人気を得ている。現在撮影中のシーズン3に、アメリカで活躍する日本人俳優・尾崎英二郎(『硫黄島からの手紙』(2006)・『HEROES/ヒーローズ』(2007))が準レギュラーとして出演することが決まった。

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 尾崎が演じるのは、冷静な現実主義者の大日本帝国海軍大将イノクチ提督。日本を描いている作品でもあるため、本来なら日本人俳優にとっては出演するチャンスが多く有利にも思えるが、ドラマのメインの言語(セリフ)が英語の場合、どうしても英語ネイティヴの俳優が起用されることがまだまだ多い中で、尾崎は難関を突破した。

 「英語で250語を超える長い演説シーンと短い会話シーンの二つがあり、覚えるだけでも大変でした」と、4月中旬に行われたオーディションを振り返る尾崎。「二晩しか準備時間がなかったので、その演説をあたかも“一軍の将”として、凛とした態度で演じ切るのは至難の業でした。シーンの内容をよく理解していたこと、セリフの明瞭さ、それから軍人としての気質や佇まいをふまえて演じたことがポイントだったと思う」と勝因を分析する。実は、イノクチ役の年齢設定とイメージは尾崎の48歳という実年齢よりも高かった。アメリカでは、特に実年齢よりも若く見られてしまうため、「ベテランの貫禄のようなものを醸し出すのは難しい」としながらも、あえて挑戦した理由。それは、「説得力のある演技さえ見せられれば、仮にこの役を獲得できなくてもキャスティング担当やプロデューサーらの記憶に留めてもらえるし、必ず次のチャンスにつながる」と考えたからだという。

 実際に、尾崎は前シーズンの撮影中にも、別の役で何度かオーディションに挑戦していた。今回は年齢的に不利な役ではあったが、全力でオーディションで臨んだ尾崎の演技は、プロデューサー陣を「老けさせれば、この役を演じるのは可能かもしれないと思った」と言わしめるほどの高評価を得た。これは、昨年公開された映画『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』(2014)で、オーディションの途中で役柄が変更され、設定年齢が15歳のマサオ・クメ役を獲得し、演じ切ったエピソードを彷彿させる。何事も諦めない姿勢で挑戦を続ける尾崎。最終的にAmazonスタジオからゴーサインが出たときには、「奇跡のような縁を感じた」と語る。

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最終更新:7/6(木) 10:10
シネマトゥデイ