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ソラコムがSigfoxやソニーのLPWAとつながる、2つの新サービスも投入

7/6(木) 12:10配信

MONOist

 ソラコムは2017年7月5日、東京都内でユーザーイベント「Discovery 2017」を開催した。基調講演に登壇した同社社長の玉川憲氏は、2つの新サービスの他、独自のLPWA(低消費電力広域無線通信)ネットワーク技術を開発中のソニーやSigfoxの国内を手掛ける京セラコミュニケーションシステム(KCCS)との提携など、新たな事業展開を矢継ぎ早に打ち出した。

【大阪ガスやIHI、ダイドーのIoT採用事例などその他の画像】

 ソラコムは2015年9月に、IoT(モノのインターネット)向けのMVNO(仮想移動体通信事業者)回線サービス「SORACOM Air」の提供を始めた。その後、回線サービスのグローバル化や拡充を進め、IoTを活用する上で求められるサービスの展開も拡大させている。玉川氏は「前回のDiscovery 2016の時はユースケースの数を約3000とお伝えしたが、この1年で約7000まで伸びた。ソラコムでIoTを試して、実際のビジネスにつなげているユーザーが増えてきていることもうれしい」と語る。

 2017年5月以降のユーザー事例としては、大阪ガス、IHI、フジテック、三英社製作所、ローソン、日の丸自動車、テプコシステムズ、コニカミノルタ、ニューマインド、ハイク、ファームシップ、トリプル・ダブリュー・ジャパン、ダイドードリンコなどを挙げた。

●ソラコムのサービスはアルファベット順だった

 玉川氏は「さまざまな顧客からの要望をお聞きする中で、さらに新たなサービスを投入する必要性を感じている」と述べ、主にデバイス側に関わる2つの新サービスを紹介した。

 1つはIoTデバイス管理サービスの「SORACOM Inventory」だ。従来のソラコムのサービスでは、IoTデバイスに組み込まれたSIMカードの情報など回線を管理することはできても、IoTデバイスそのものを管理することはできなかった。SORACOM Inventoryでは、個別にアプリケーションを作り込むことなく、SORACOM Airで回線の管理を行うWebコンソール上で、IoTデバイスの状態や設定の管理、デバイスの再起動、コマンド発行、データの配置、各種メトリクスのモニタリングなどを行える。

 なお、SORACOM InventoryにおけるIoTデバイスの管理には、OMA(Open Mobile Alliance)が標準化した、LWM2M(OMA Light Weight M2M)プロトコルを用いている。このため、IoTデバイスにLWM2Mのエージェントをインストールする必要がある。回線サービスに「SORACOM Air for セルラー」を利用している場合は、初期設定手順を簡略化できる。

 SORACOM Inventoryは、2017年7月5日から「Limited Preview」として提供される。ソラコムに利用申請すれば、Limited Previewの期間は無料で試用できるという。

 もう1つは、IoTデバイスがやりとりするパケットに対してさまざまな処理を適用できる「SORACOM Junction」である。回線サービスのSORACOM Airは、IoTデバイスとクラウドを直接つなげることで、IoTセキュリティの確保のしやすさを特徴の1つにしてきた。しかし、IoTデバイスそのもののセキュリティを担保することはできない。SORACOM Junctionは、「インスペクション」「ミラーリング」「リダイレクション」という3つの機能を提供しており、IoTデバイスのさらなるセキュリティ向上や通信の監視、通信の制御などが可能になる。

 特にミラーリング機能では、トレンドマイクロのセキュリティVNF(Virtual Network Function)との連携により、IoTデバイスとの間の通信トラフィックに潜むセキュリティ脅威の可視化や制御が可能になるという。なお、SORACOM Junctionは「Public Beta」として2017年7月5日に正式にサービスを開始している。

 なお、ソラコムのサービスはSORACOM Airから始まって、「SORACOM」の後に来る英単語がアルファベット順で並ぶように投入されてきた。今回、SORACOM InventoryとSORACOM Junctionが発表されたので、残りのK~Zまで16文字のアルファベットに対応するサービスが今後展開される見込みだ。

●LPWAではスカパーJSAT、ソニー、KCCSと提携

 ソラコムは、セルラー(携帯電話通信網)方式の回線サービスだけでなく、LPWAネットワークの活用にも積極的だ。920MHz帯の通信は用いるLoRaについては、2016年7月に実証実験キットを発売し、2017年2月には「SORACOM Air for LoRaWAN」として正式なサービスを開始している。

 玉川氏は「LoRaでも、ゲートウェイとクラウドの通信にはセルラーを用いている。しかし、山間部などセルラーの通信が届かないエリアではどうすればいいのか」と課題を挙げる。そこで現在開発中なのが衛星回線を用いた通信だ。スカパーJSATとの協力により、2017年6月に実証実験を開始したところである。

 さらに、ソラコムのサービスをLoRaにとどまらないさまざまなLPWAで利用できるようにパートナーシップを拡大していく方針だ。玉川氏は、ソニーが独自に展開する「ソニーのLPWA」と、KCCSが国内展開するSigfoxとの提携を発表した。

 ソニーのLPWAは現時点で正式なサービスが始まっていないこともあり、まずは2017年7月に技術検証を始める計画だ。一方、既に東京23区や大阪市をカバーしているSigfoxについては、7月5日から「SORACOM Air for Sigfox」を提供する。セルラー方式のSORACOM Airと同様に、Webコンソールを通じて、Sigfoxによる通信を行うIoTデバイスの操作や管理を行える。

 ゲストとして登壇したKCCS社長の黒瀬善仁氏は「Sigfoxのチャネルパートナーとしてソラコムが加わることで、ソラコムの充実したIoT関連サービスやさまざまなクラウドとの接続性が得られる」と提携の効果を強調する。

 SORACOM Air for Sigfoxは、契約事務手数料とSORACOM Air for Sigfox の1年分の料金を含めたデバイスとして提供される。実証実験などに最適なセンサーキット「Sens’it」は8478円、オプテックスの「ドライコンタクトコンバーター」は3万9800円(いずれも税別)。1デバイスで1日当たり140回までのデータ送信が可能であり、ソラコムの「SORACOM Beam」「SORACOM Funnel」「SORACOM Harvest」の利用料金も含んでいる。その後は、1デバイス当たり年間1440円の利用料金がかかる(1年単位で契約。通信費やサービスの利用料金を含む)。

 玉川氏は「ソラコムはあくまでIoTを広げていくためのプラットフォームだが、さまざまなパートナーとの提携が拡大することによって面白いことが起きている。Sigfoxはソラコムとつながることでクラウドとの接続性が向上した。リアルタイム予測分析プラットフォームを展開するブレインズテクノロジーは、ソラコムとつながることで通信接続の選択肢が広がった。これらのことから、当社のコーポレートスローガンである『世界中のヒトとモノをつなげ共鳴する社会へ』の実現に近づいているように感じる」と語り、講演の最後を締めくくった。

最終更新:7/6(木) 12:12
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