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音楽や体験会で養蜂PR 浜松ピアノコン題材の小説、追い風に

7/6(木) 17:00配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 養蜂家の子の天才ピアノ少年が登場する浜松市がモチーフの恩田陸さんの小説「蜜蜂と遠雷」を追い風にしようと、静岡県内の若手や中堅養蜂家が、さまざまな方法で仕事をアピールしている。多くの人にあまり知られてこなかった養蜂を、得意のギター演奏や体験会の開催などで親しみやすく知ってもらい、キャリア教育や環境啓発にも一役買おうと励んでいる。

 市の起業家育成事業の講師を務めた養蜂家塩見亮太さん(32)=同市天竜区=は6月中旬、同市浜北区の市立赤佐小児童に仕事内容の説明とともにギター演奏を披露。「児童には仕事も趣味も楽しむ人生を送ってほしい。自分が小学生時代に考えもしなかった独立や起業という選択肢も示したかった」と話す。

 塩見さんは小説の題材が浜松国際ピアノコンクールということもあり「楽器は違うが少年の愛称の『蜜蜂王子』と呼ばれもする」と照れ笑いを浮かべる。

 島田市の養蜂家横田川純也さん(28)もギター奏者。都内で開くライブの会場で、若い客層にとってはなじみの薄い養蜂への理解を広めようとハチミツも売る。「ミツバチは農薬で死に、病気に弱い。地域を見つめ直す機会も与えてくれる」

 養蜂11年目の村上康裕さん(50)=伊豆の国市=は夏から秋、花の蜜を求めて北海道に向かう。地元では年数回、採蜜体験などのワークショップや講演も行う。啓発活動を増やそうと人を雇う計画も立てる。「養蜂は草花とも向き合う。ミツバチの力を借りて自然の偉大さを伝えたい」と語る。



 ■取り巻く環境に変化

 養蜂農家を取り巻く環境は近年、大きく変化している。事業者と趣味の養蜂家間のトラブル解消を狙い2013年、改正養蜂振興法が施行。両者に飼育届け出を義務づけた。県畜産振興課によると県内の届け出も急増。大きな蜜源がないこともありトラブルの相談はないというが、養蜂関係者は「県外ではアカシア畑などの蜜源をめぐる対立がいまだにある」という。県養蜂協会は毎年講習を開いて指導を続ける。

 伝染病や外敵に加え、外来種のハチや気候変動による蜜源減少といった新たな驚異も。中西一巳会長(80)は「熟練者も勉強が必須。若手は新しい発想も生かし研さんを積んで」と話す。



 <メモ>蜜蜂と遠雷 2016年発売の浜松国際ピアノコンクールを題材にした音楽小説。直木賞と本屋大賞を受賞し、発行部数は17年6月時点で57万部。フランスを拠点とする移動養蜂家の息子で16歳の天才ピアニスト風間塵(じん)は主要登場人物で「蜜蜂王子」とも呼ばれる。物語には風間がミツバチの羽音に喜びを感じる印象的な場面も描かれている。

静岡新聞社