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復刻連載「北のサラムたち1」第22回 40年目のSOS 在日帰国者一家の物語(6) 愛憎入り交じった日本への思い

7/6(木) 11:15配信 有料

アジアプレス・ネットワーク

北朝鮮での暮らしが息苦しくなり、また食糧難が進行するにつれ、逆に帰国者同士の結びつきはより強まっていったようだ。同じ「騙されて帰国した」身であり、日本時代の共通の記憶を持っているので、「何といっても話が通じる」(英子さん)のだという。また、監視と差別の中で生きていくために、互いに助け合わねばという互助意識も芽生えたようだ。

「帰国者同士が集まって遊ぶのがいちばん楽しかったね。扉と窓を閉めてから日本語でおしゃべりをして、日本からの訪問団が持ち込んだ日本の歌をカセットテープでかけて一緒に歌って踊ってね。いなり寿司や海苔巻き、カレーを作ったりしましたよ」

英子さんが懐かしがる北朝鮮の思い出は、このような帰国者が集まったときのことばかりだ。

昌成さんと英子さんは、日本人の私が恐れ入ってしまうほど、「日本は良かった。日本に帰りたい」を連発した。二人が鮮明に記憶している1950~1960年代の日本社会は、在日朝鮮人への差別・偏見が、現在とは比較にならないほど強かったはずである。

日本にいたときは朝鮮人差別がひどかったでしょう? 生活も大変だったでしょう? と、北朝鮮に渡る前に成人に達していた昌成さんに質問しても、

「まあ、いじめられたよ。朝鮮人は日本ではあまり値打ちなかったからねえ。それより、今でも相撲の大鵬は生きていますか? 美空ひばりは死んだと聞いたけれど、今でも人気がありますか?」

というような調子で、日本時代の話は辛かったことより楽しかったことに傾いてしまう。
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