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豚肉関税下げ 青森県南地方の養豚業者「脅威」日欧EPA大枠合意へ

7/6(木) 11:19配信

デーリー東北新聞社

 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉が大詰めを迎える中、青森県南の養豚業者に懸念が広がっている。豚肉は環太平洋連携協定(TPP)並みの関税引き下げで調整中。安い枝肉の大量輸入も想定され、現場からは「コストで太刀打ちできない」と悲鳴が上がる。

 豚肉の県内産出額は2015年に258億円で畜産全体の3割を占める。八戸飼料穀物コンビナートに近い立地状況を生かし、県南に一大産地を形成する。

 年間約3万頭を出荷する十和田市の「ふなばやし農産」の布施久代表(56)は「経済のグローバル化の波は抑え切れないだろう」と交渉自体に一定の理解を示しつつ「大きな脅威になる」と警戒感を隠さない。

 TPPでは、従来の差額関税制度を維持した上で、安い部位に課す1キロ最大482円の関税を50円に引き下げ、高価格帯の4・3%を撤廃するとされた。EPAも同水準になるとみられ、「感覚としてはほぼ撤廃に近い。厳しい内容だ」と布施代表。

 EU加盟国ではデンマークで養豚が盛ん。日本への輸入量は米国、カナダに次ぐ3位で、輸入量全体の1割強。餌の多くを輸入に頼る県内業者と比べて飼養コストが安く、加工や中・外食向けを中心に置き換わりが進む可能性もある。

 国の統計によると、県内の1戸当たりの飼養頭数は4253頭で全国トップ級。多くの業者は経営効率化のため大規模化に取り組んでおり、これ以上の対応は難しい、との見方も強い。

 TPP合意後、国内生産者には所得補填(ほてん)などの対策が示された。県養豚協会の会長も務める布施代表は「飼料代のコスト差は生産者にはどうにもできない」とし、TPP並みの対応を求める。国際競争力の向上のため、ワクチンや検査費用の軽減などの環境整備も必要と強調し、「生産者同士が手を組み、この苦境を乗り越えたい」と語った。

デーリー東北新聞社