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保育新時代〈3〉育ちの基盤づくり重視 新保育指針を解説

7/6(木) 14:47配信

福祉新聞

 10年ぶりに改定された「保育所保育指針」は、0~2歳児の保育内容を充実することがポイントです。

 理由の一つは0~2歳児の保育需要の増加です。現在の待機児童の多くは2歳以下です。2015年の1・2歳児保育所等利用率は38・1%と、7年前より10・5ポイントも増加。そのため乳児保育の環境悪化や質の低下が心配されたのです。

 二つ目は、0~2歳児の育ちが一生の育ちの基盤になると再び認識されているからです。計算力や言葉の記憶などの「認知能力」や、感情のコントロールなどの「非認知能力」の獲得に、大いに関係があるとされます。

 近年の研究では、非認知能力が育つと認知能力も高まり、幸福感の高い人生になるとされ、先進国の保育・教育界で注目されています。

 乳児期は、大人が応答的に関わることで、愛着が形成され、「自分は守られている存在だ」と周囲を信頼する力が育つのです。これが、困難に立ち向かい自己をコントロールする力になります。

 愛着形成は0歳児に始まり、2歳までが大変重要な期間です。OECDの幼児教育セクションでも、愛着を含めた乳児保育の在り方が注目されています。世界的な保育の質研究もあり、審議会の中でも度重なる議論を経て、保育所保育指針で「0~2歳児の項をもっと厚く」ということになりました。

 また、第1章総則に「養護に関する基本的事項」が入りました。現行では第3章にありますが、子どもの生命の保持や情緒の安定が保育の核だと強調するために移ったのです。

 保育内容は「乳児」「1歳以上3歳未満児」「3歳以上児」に分けています。1歳以上は5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)、0歳児は(1)健やかに伸び伸びと育つ(2)身近な人と気持ちが通じ合う(3)身近なものと関わり感性が育つ――の三つです。

 現行では5領域で全年齢同一です。しかし、0歳児は「5領域」での評価に問題が多いことから、このように変わりました。

 さらに、新指針では、年齢別に「ねらい」や「内容」、「配慮すべき点」を示しています。カリキュラム作成や評価省察のおりに、参考にしやすくなったのではと思います。

【寺田清美】東京成徳短期大教授。保育歴26年(係長副園長)の経験もあり、社会福祉士の資格も持つ。厚生労働省の社会保障審議会保育専門委員会委員も務めている。

最終更新:7/6(木) 14:47
福祉新聞