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【ウルトラセブンを創った人たち】(16)常に「目力」を意識して演技

7/6(木) 15:00配信

スポーツ報知

 「セブン」撮影当時、モロボシ・ダンを演じた森次浩司(現・晃嗣)は神奈川・藤沢市に住んでおり、撮影所の最寄り駅である小田急線成城学園前駅まで電車で通った。午前5時に家を出て、およそ1時間半をかけての“通勤”。撮影が終わると、また1時間半かけて帰ってくる―そんな1年間だった。

 「休みなしで、そりゃあクタクタだった。風邪を引いたって休めないんだから。若かったから出来たんだろうね。電車の中で子供たちに『ダンだ!』なんて声を掛けられることはなかったな。当時の子供たちがそれだけ純粋だった、ということ。ダンは本当にどこかにいて、今も怪獣や宇宙人と戦っている…と思っていたんだよ。小田急線の中にいる、なんて思ってなかった。今の方がよほどヒソヒソとやられたり、『セブンだ…』と指をさされたりする。だから、ダンが女性と手をつないで乗っていても、誰も気が付かなかったと思うよ」

 ダンを演じる上で森次が一番、意識したのは目力(めぢから)だったという。

 「企画書の段階でタイトルが『ウルトラアイ』だったでしょ? 変身する小道具もウルトラアイだし、『目に印象があった方がいいかな』と思って、常に意識していた」

 ダンはセブンが地球に滞在するために姿を借りたものであり、宇宙人、人間双方の気持ちが分かるために悩み、苦しむことがあった。

 「そういうダンの心情も各監督さんがうまく撮ってくれたなあ、と思う。見終わって、余韻の残る作品が多かったよね。子供には『ウルトラマン』の方が分かりやすかったと思う。セブンの方が視聴率が10%くらい落ちていたからね。でも、その余韻が今でも『セブン』に惹(ひ)かれるファンの心をつかんでいるんだろうね」

 宇宙人がゆえに、どこか孤独感を漂わせていたモロボシ・ダン。そんなダンを励まし、温かく包んでいたのが、ウルトラ警備隊の紅一点・友里アンヌ(菱見百合子=現・ひし美ゆり子)だった。=文中敬称略

 ◆無意識の「デュワッ!」

 ウルトラアイを装着する時の「デュワッ!」をはじめ、劇中、セブンが発する「ダーッ!」などの掛け声も森次自身によるもの。「監督から『やって』と言われたので、丸一日かけて録音した。何パターンも取ったから『デュワッ!』も意識して発したんじゃない。『変身シーンに一番、合うものを』とスタッフが選んだものがこれだっただけ」。森次は後年、「ウルトラマンメビウス」で主人公・ヒビノ ミライを演じた五十嵐隼士に声の当て方を指導している。

最終更新:7/6(木) 15:00
スポーツ報知