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量子コンピューター開発最前線、関心高まる日本発のアニーリング方式

7/6(木) 17:57配信

日刊工業新聞電子版

■「アニーリング方式」と「ゲート方式」

 人工知能(AI)の性能を飛躍的に高めるとされる量子コンピューター。かつては「夢の計算機」と言われたが、2011年にカナダのディーウェーブ・システムズが商用化し、米グーグルや米航空宇宙局(NASA)などが相次ぎ導入して話題となった。世界では今、どのような開発競争が繰り広げられているのか。

 現在のコンピューターは「0(オフ)」か「1(オン)」の2進法を使って計算する。そこでは必ず0か1のいずれかの値を取る。これに対して量子コンピューターは、量子力学の法則に基づく「0」と「1」の重ね合わせの状態を情報処理の基本単位(量子ビット)として計算する。大規模並列計算が可能なため、スーパーコンピューターをはるかにしのぐ能力を持つ。

 一口に量子コンピューターと言ってもいくつかの方式がある。「量子ゲート方式」は正統派の量子計算機で、長年研究されてきた。これまで実現には相当の時間を要するとされていたが、グーグルが49個の量子ビットを実装した計算機を17年中に試作すると発表。5年内の実用化を掲げる。

 米IBMも3月、最大50個の量子ビットを持つ計算機システムを数年後に構築し、クラウド上で商用化する方針を打ち出した。両社が49個以上のビット数を目指すのは、それが現在のスパコンの性能の壁を破る一つの目安だからだ。ただ、現状では十数個程度のビット数にとどまっている。

■無数の選択肢から最適解

 これに対し、近年関心が高まっているのが、ディーウェーブが採用する「量子アニーリング方式」を使った計算機だ。これは量子力学に従ったアニーリング(焼きなまし法)で、量子効果を使ってすべての解の候補を均等な重みで重ね合わせ、そこから最適な解を高い確率で探す。

 同方式の原理は日本生まれで、98年に東京工業大学の西森秀稔教授らが理論を提唱した。西森教授は、当初は実用は想定しておらず、統計力学における「スピングラス」(スピンがばらばらな方向を向いて固まった状態)の研究からその着想を得たという。

 同方式は「組み合わせ最適化問題と、AIの基盤技術である機械学習のためのサンプリングが目的」(西森教授)。社会の多くの現象は、膨大な数の選択肢から最適な解を選び出す組み合わせ最適化問題に落とし込める。AIを賢くする観点から世界中のIT企業が注目する。

 ディーウェーブの計算機が、実際に量子効果を使って動いているかについて、科学界では激しい論争があった。西森教授は「一定水準以上の量子効果が観測されるなど、ほぼ決着がついている」と説明する。量子アニーリング計算機は量子コンピューターとして認められつつある。

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