ここから本文です

ある日突然「がん」を告知された子どもたちは、何に苦しみ、どんな夢を見るのか

7/6(木) 17:00配信

BuzzFeed Japan

小児がんには「不治の病」というイメージがあるかもしれない。しかし、医学の進歩により、治癒する患者は全体の70~80%に上るようになった。一方で、そのための切り札である骨髄移植に必要不可欠な無菌室が、国立の医療機関でさえ不足する恐れがあるという。ある元患者は「子供たちの戦いを知ってほしい」と訴えた。小児がん治療の現場で、何が起きているのか。【BuzzFeed Japan / 朽木誠一郎】

15歳の女子高生Mさんを取り囲む報道陣。彼女はニコニコしながら、丁寧に受け答えをしていた。その瞬間までは。

「自分の病気がわかったとき、どう思いましたか?」--こんな質問に、Mさんは、ハキハキと「初発(しょはつ)のときは……」と説明を始めた。

「再発」と対になる、がんの最初の発生を意味する「初発」。筆者はMさんの話を聞きながら「“初発”なんて、難しい言葉を知っているんだな」と、のん気なことを考えていた。

そんなことは当たり前だ。ここは国立成育医療研究センター、日本で最大規模の小児医療などの専門病院で、Mさんは白血病の治療中だ。病気が発覚したとき、彼女は13歳だった。それ以来、彼女はこの病気とずっと付き合っているのだから。

「当時、私は白血病という病気を知らなかったんです。だから、先生(医師)に“あなたは白血病です”と言われても、“そうなんだ”くらいにしか感じませんでした」

Mさんは中学時代、陸上部だったという。走るのが大好きで、長距離の選手になった。ある時から、タイムがどんどん落ちてきた。その年の夏合宿では、練習前のウォーミングアップでゆっくり走ることすら難しくなった。

「でも、それまで病気なんてしたことがなかったから、お母さんも“カゼでしょ”と言っていて。そうしたら、急にすごい熱が出て……。それからは、ずっと入院です(苦笑)」

淡々と説明するMさん。急に、声を詰まらせた。

「先生に病気の説明を聞いたら。聞いたら……」みるみる顔色が変わり、目が潤む。「薬の副作用で、髪が抜けたり、顔が膨らんだりするって言われて。自分の見た目が変わってしまうのが、すごくショックで」

嗚咽混じりに伝えられる、がんと共に生きる少女の言葉。インタビューをしていた病室に、重い空気が広がる。堰を切ったように、Mさん自身の言葉が流れ出て、止まらない。

筆者にできることは、椅子に座る小柄な彼女と目線を合わせるために、じっと床にしゃがみこむことだけだった。

「中3のときに再発がわかって。1年間あんなにつらい思いをして治療したのに、またショックで。その日は病院でお母さんとずっと電話して」

「友だちにもまた会えなくなっちゃう。そう伝えたら、みんな励ましてくれて、うれしいんだけど、どうせ励まそうとしているんだろうなって、そんな嫌なことを思ってしまって」

再発後、Mさんは骨髄移植を受けた。同院の小児がんセンター 移植・細胞治療科医長の加藤元博医師によれば、再発時に一段強い治療として、あるいは、手強いことが予想される小児がんには最初から、彼女のように骨髄移植が行われるそうだ。

Mさんが少し落ち着くのを待って、筆者は「元気になったら、何がしたいですか?」と質問した。そうすると、彼女は無邪気に笑って、「いっぱいしたいことがある」と言った。

「“テストやだぁー!”って言いたい。リュックを背負って、電車に乗って、通学したい。普通の女子高生になりたい」

そんな彼女の夢は「看護師さん」だという。「私たちには、気づいてほしいけど、言えないことがたくさんある。そういうことに気づける看護師さんになりたい」(Mさん)

1/3ページ

最終更新:7/7(金) 12:21
BuzzFeed Japan