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MONOEYES 新作『Dim The Lights』は教えてくれる、僕たちの中にある光を

7/6(木) 12:40配信

rockinon.com

未知なる場所に力づくで人々を連れて行くのでも、人々を突き飛ばすように進むのでもなく、立ち止まった人々の肩を叩き語りかけるように、MONOEYESのロックは鳴り始めた。2015年春に始動が告げられた時点で、彼らは明確な目的を持ったバンドだったし、その目的はさまざまなグループでキャリアを積んできたメンバーの思いを纏め上げてみせた。明確な目的があればこそ、熱く率直なロックソングの数々が生まれ、たくさんの人々に支持されたのである。


ところが、昨年秋の『Get Up E.P.』に始まったと言えるMONOEYESの新章は、鮮烈なスタートダッシュの勢いに乗って物語の続きを描くものではなかった。ビデオの風景は日中だけれど、あたかも焚火を囲み、じっくりと語らうように歌われた“Get Up”があり、そのムードはニューアルバム『Dim The Lights』(「あかりを消そう」の意)のビジョンへと連なっている。「走り出したバンド」の物語よりも、「立ち止まった人々の肩を叩き語りかける」という目的が優先されたセカンドアルバムなのだ。MONOEYESが掲げた目的の大きさが、あらためてひしひしと伝わってくる。

表現者は誰だって衝動と目的を抱えて活動するものだが、MONOEYESにとっては「自分たちが走り出した」という事実よりも「立ち止まっている人がいる」事実の方が重要なのだ。過去のさまざまな活動の中で、あの4人はそのことを知ったのだ。バンドとしての熱く生々しい躍動感は健在だけれど、歌うべきメッセージを、またそれを運ぶサウンドを、より具体的に効果的に形にするための手続きを踏んでいる。こんなふうにセカンドアルバムへと至るバンドが、世界にどれだけいるだろうか。


それぞれに疎外感を抱えた男女の姿が歌われるオープニング曲“Leaving Without Us”で始まり、情景を記憶の彼方へと押しやりながらもなお寄り添って生きてゆく“Two Little Fishes”はとてもロマンチックだ。メッセージを運ぶために激しいサウンドのレイヤーが構築された“Reasons”はアルバム中盤に強烈なインパクトをもたらしている。《間違いの中に/答えがあるなら/悪くないかもね/ほら》といった全編日本語の歌詞が伝う“ボストーク”がまた、新たな道に踏み出すための素晴らしいナンバーになっている。ちなみにボストークとは、ガガーリン少佐が搭乗し人類初の有人宇宙飛行を成功させたロケットの名前だ。

高らかなシンガロングコーラスがデザインされた終盤の“Carry Your Torch”は、「MONOEYESのスコットここにあり」ということを知らしめるエモーショナルな1曲。そして、歌とサウンドの力で優しく背中を押す“3,2,1 Go”へとたどり着くクライマックスがまた感動的だ。細美はこの曲の中で《今日は/あかりを消せる/今日は/自分たちの光を見つけた》と歌っている。勢い任せでは零れ落ちてしまうものがあるからこそ、人は立ち止まって考える。そういうすべての人々のために丹念に紡がれた、ロックバンドの言葉とサウンドが、『Dim The Lights』には詰まっている。(小池宏和)

rockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

最終更新:7/6(木) 12:40
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