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年金よりも深刻? 医師の半数が「国民皆保険」を維持できないとの考え

7/10(月) 13:59配信

THE PAGE

 すべての国民が等しく医療を受けることができる「国民皆保険制度」について、医師の半数が維持できないと考えていることが明らかとなりました。

 医師向け情報サイトであるメドピアと日本経済新聞が全国の医師、約1000人に対して行った調査によると、「現状の皆保険制度に基づく医療は今後も持続可能と思うか」という質問に対して、52%の医師が「そうは思わない」と回答したそうです。維持できない理由としては、高齢者の医療費増大、医療の高度化などが多く見られます。一方、維持できると答えた人の多くが「患者負担の増加」や「消費税の増税」といった条件を付けているそうです。

 日本の社会保障制度については、公的年金の維持可能性について取り上げられるケースが多くなっていますが、財政的な緊急性から考えると、むしろ医療保険制度の方が状況は深刻です。

 日本は国民皆保険制度を採用しており、保険料の滞納さえなければ、誰でも同じ水準の医療を3割の自己負担で受けることができます。医療費が高額になった場合は、さらに補助される仕組み(高額療養費制度)がありますから、日本において重篤な病気で病院にかかれないということはまずありません。

 しかし、この制度の維持には莫大な費用がかかります。2015年度における国民医療費の総額は41兆円を超えていますが、国民から徴収する保険料と患者の自己負担でカバーできているのは全体の約6割にすぎません。残りは税金などから補填される仕組みになっており、公的負担がなければ、制度を維持することは極めて困難です。

 年金の場合は100兆円を超える積み立てがあり、赤字の状況が長く続いても、ある程度は時間を稼ぐことができます。しかし医療保険については、積み立てがほとんどなく、その年にかかった医療費は、その年に徴収した保険料や税金で賄う必要があります。つまり、医療費が高騰してしまった場合には打つ手がなくなってしまうわけです。

 現役の医師は医療の現場を毎日見ていますから、こうした危機感が大きいと考えられます。必ずしも医療現場の判断がマクロ的に正しいとは限りませんが、半数の医師が制度の維持は不可能と考えているというのは少々ショッキングな結果です。

 医療については、ふだんあまり意識しませんが、いざ病気になった時に自由に病院にかかれないというのは恐ろしいことです。国民皆保険制度を維持したいと考えるのであれば、自己負担の増加や増税など何らかの財源の手当が必要かもしれません。年金と同様、医療についても今後どう運営していくのか、国民的な議論が必要でしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:7/17(月) 6:09
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