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金本辞任もあるぞ 阪神2位維持で幹部に“勝利優先”の邪念

7/7(金) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「話が違うやろ!」

 金本監督はそう思っているのではないか。

 2位阪神は6月末までの8連敗で首位広島には7ゲームもの大差をつけられているが、ペナントはまだ折り返し地点。逆転は十分に可能だ。1日に契約合意が発表されたジェイソン・ロジャース内野手(29=パイレーツ3A)の獲得も、12年ぶりの優勝に向けて打線を強化するのが狙いだが、この時期の助っ人取りに最も積極的だったのは球団オーナーだというのだ。

 2008年6月に就任した坂井信也オーナー(69)は優勝の味をまだ知らない。08年の阪神といえば、一時は巨人に13ゲーム差をつけて優勝が確実視されながら、終盤の失速で大逆転負けを食らい、岡田監督(当時)は引責辞任。優勝記念グッズなども大量処分されるなど、思わぬ結末に坂井オーナーはじだんだを踏んで悔しがったという。

 金本監督2年目の今季、チームは序盤から好調で5月6日の広島戦で9点差を逆転し首位に立つと、5月中旬には貯金を12まで増やした。

 5月28日にDeNAに負けて首位から転落するも、今も2位をキープしている。

「予想外の好成績にオーナーは浮足立っているのでしょう」と、ある球団OBがこう語る。

「そもそもこの時期に、ホームランを量産できる外国人選手なんて取れるはずがない。それでも坂井オーナーは『中途半端じゃダメだ。少々高くてもいいから打てる助っ人を取ってくれ』とフロントをせっついていたらしい。球団顧問の南(信男=前球団社長)さんも、『優勝が狙える位置にいるのにフロントは何もやっていないと思われるぞ』と、助っ人取りを進言したと聞いた。毎年、補強に山のように金を使っても05年以来ペナントを取っていない。今年はチャンスだからと、電鉄本社やオーナーたちもその気になっているのです。でもそれは、金本監督にとってはいい迷惑なんですよ」

■「壊す」とは育成による改革

 チームの目標はもちろんリーグ優勝、日本一だ。しかし、坂井オーナーが考える優勝と金本監督が描く優勝の中身は異なる。

 金本監督は2年前のオフ、阪神から何度就任要請が来ても首をタテに振らなかった。最後に決断したのは南球団社長(当時)の、「このチームを一回壊してでも再建したい」という熱意だった。

 金本新監督にとって「阪神を壊す」とは、育成によるチーム改革に他ならない。伸び悩む若手を育てあげ、補強頼みのチームを、生え抜き中心の常勝軍団に変貌させることだ。

 当時は坂井オーナーもその考えに全面的協力を約束し、金本監督が誕生した経緯がある。指導者経験のない新監督が、やはり日本代表のコーチ経験しかない球団OBの矢野燿大氏(48)を作戦兼バッテリーコーチで入閣させたのも、目先の勝利ではなく時間をかけて正捕手を育成するのが目的だったからだ。

「そんな金本監督にとって新外国人選手はむしろ邪魔なのです」と、関西のテレビ関係者がこう続ける。

「例えば、獲得が決まったロジャースは身長185センチで体重は120キロ近い巨漢ですから一塁しか守れない。助っ人の加入で、若手の中谷や原口、大山らの出番が制限されれば、将来を見据えた育成がおろそかになりますからね。でも、フロントは優勝を願うファンの声や電鉄本社の意向は無視できない。坂井オーナーもそうだし、何より自身が優勝したい。現場と温度差があるだけに、この先が心配です」

 坂井オーナーは先月、楽天との交流戦の時に、楽天の星野球団副会長(70)と会談した。

 シーズン中に他球団の幹部と話し合いの場を持つのは異例である。星野副会長は「金本監督に意見できる唯一の恩師」といわれる御仁だ。だからといって、まさか「勝ちにこだわる野球をするよう、金本監督に言って欲しい」と、星野副会長に頭を下げたとは思わないが、チーム改革に全力を注ぐ一本気な金本監督だ。この先ヘソを曲げたら、まさかの辞任もあり得る話だ。