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【MINI 初のPHEV】意味、戦略の詳細は秋以降を待て…MINI Cooper SE Crossover ALL4

7/7(金) 15:15配信

レスポンス

6日、BMWはMINIシリーズでは初となるPHEV「MINI Cooper SE Crossoer ALL4」を発表した。ライフスタイルとブランドを大事にするMINIにおいて、プラグインハイブリッドはどのような位置づけ、戦略があるのだろうか。発表会の様子をお伝えするとともに、その戦略について聞いてみた。

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●フロントガソリンエンジン+リア電気モーターの4WD・PHEV

まず、車両の外観だが、同じクロスオーバー仕様のSDなどと同じだが、フロントフェンダーのマーカーと一体化したサイドスカッフが、PHEVのコンセプトカラーであるイエローをあしらった電源プラグアイコンのデザインとなる。このうち左側が充電プラグの差し込み口となる。同じイエローは、フロントグリルやリアエンブレムにも使われ、サイドシルのロゴと車内のイグニッションスイッチとなるスタートアンドストップトグルもイエローになる。SE以外のMINIは赤色だ。

エンジンはB38A15A-P160。1498ccの3気筒DOHCエンジンだ。これはBMW 225xeと同じエンジンだ。最高出力は136PS/4400rmp。最大トルクは220Nm/1400~4300rpm。電気モーターの出力は88PS(65kW)、同トルクは165Nm。

4WDの駆動方式が少し変わっていて、フロントはガソリンエンジンが担当し、リアを電気モーターが担当する。前後の駆動系の間にセンターデフに相当するものはなく、ECUにより前後のトルク配分や出力を調整する。

リアモーターだけのEV走行は42.4kmまで可能で、最高速度は125km/hまでとなっている。

充電は、普通充電に対応しており、家庭内の単相200Vをブレーカーから配線すれば自宅に充電ケーブルを設置できる。バッテリーが空の状態でも3時間でフル充電となる。充電スポットは、BMWが展開する「ChargeNow」サービスの充電器が利用できる。主だったBMWディーラー、提携ディーラーの他、ChargeNowに対応した充電器を設置しているショッピングモールなどが対象だ。

ChargeNowは月額2500円で普通充電がし放題となるが、今回発表のSE Crossover ALL4は、新車購入から1年は無料で使える。高速道路SA/PAの急速充電器は利用できないが、PHEVなのでさほど不便さはなさそうだ。

●経済性やパフォーマンスではないMINIのPHEV戦略

BMW MINIディビジョン本部長 フランソワ・ロカ氏は、SE Crossover ALL4の市場投入の背景について「MINIは第3世代となるFシリーズ以降、年平均で11%の成長を続けています。その理由は、マーケット分析だけに左右されない、MINIが大事にしているブランドと顧客のライフスタイルを重視する考えが受け入れられているからだと考えています。」と、同社の現況を振り返る。

PHEVについては、「日本のPHEV/EVの市場は、経済性を重視した国産車とパフォーマンスを追求した輸入車という2つの市場がありますが、MINIのユーザーでPHEVに興味のある層は、これとは違った提案を考えています。PHEVのMINIによってユーザーのライフスタイルをより明るいものにしたい。コンセプトカラーのイエローは太陽を表しています。」と説明する。

といってもイメージ戦略だけでPHEVを投入するわけではない。じつはBMWグループの中で最初のEVはMINIである。2008年に600台ほど生産・販売された。その技術や市場データはi3、i8に反映されているという。MINIでも、将来的にはEVシフトは避けられないという認識はあり、ロカ氏は発表の中でも「EVのMINI」についても示唆する発言があった。

車両の特徴については、BMW MINIディビジョン プロダクト・マーケティング 生野逸臣氏が説明した。生野氏によれば、今年から日本に投入されたMINI Crossoverは、これまでのユーザー層には少なかったプレミアム志向の高いユーザーを取り込むことができたという。今回のPHEV投入は、これをさらに広げるため、走りや経済性などで新しい体験やライフスタイルの提案にしたいとのことだ。

その提案とは「まず電気モーターによるスムースな走り出し、ストレスない走りがあります。加えて車内の静粛性は会話や音楽の愉しみを増やしてくれます。フロアに配置されたバッテリーのおかげで低重心の安定した走りも堪能できます。これまでのMINIにはない落ち着いた走りです。最後に、PHEVは購入の際の補助金や税制での優遇といったメリットもあります。」とした。

日本のMINIユーザーの半数がマンション住まいだといい、充電インフラについては、ChargeNowの1年間無料サービス、全国の主要BMWディーラー、日本充電サービスの普通充電器を設置したコンビニ、ショッピングモールなどで対応する。

●戦略の全体像は年末の発表まで待て

以上が、記者発表における概要だ。EVスポーツカーやガソリン代節約のPHEV/EVではなく、スムースなドライビングや静粛性といった視点で考えた結果、PHEVというソリューションを選択したともとれる説明だが、それでも、なぜ最初の投入がクロスオーバーだったのか。EVではなかったのか。多少の疑問も残る。

この点について、発表会後のぶら下がりでいくつか質問してみたが、「Crossover ALL4の世界観とPHEV技術の融合は、我々も経験のない領域なので、すべては手探り。これからの使い方、価値についてはユーザーとともに作っていく」というような返事で多くを語ってくれない。

しかし、発表会の中でもEV MINIについての言及もあり、この点については「秋以降、年末にはEV戦略について詳しい説明ができるはず。(ロカ氏)」とのことだ。

折しもボルボカーズがフルEV化の戦略を発表したばかりだ。中国やその他新興国のようなビッグマーケットを考慮すると、ゼロエミッションは各社にとって急務なはずだ。BMWグループとしてのMINIのEV戦略の詳細が見えてくれば、今回のMINIクロスオーバーのPHEVの意味や戦略がさらにクリアになるのではないだろうか。

《レスポンス 中尾真二》

最終更新:7/7(金) 15:15
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