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若虎・植田の涙に成長を期待

7/7(金) 11:00配信

デイリースポーツ

 涙の数だけ強くなれるよ-。

 私が通っていた小学校の放課後、下校時間に流れる音楽は岡本真夜が歌う「TOMORROW」だった。ある鳴尾浜で行われた試合後、ふとその曲を思い出したことがある。

 6月29日のウエスタン・オリックス戦。植田海内野手が守っていた遊撃で2つのミスを犯した。場面は0-3の九回。先頭打者の打球はバウンドして植田の前へ転がった。いつものように素早く捕球体勢に入ったが、グラブにボールがしっかりと入りきらず、握りかえに失敗。守備が売りである若虎にとって、珍しい失策だった。

 展開は進み2死一塁となる。二遊間方向に打球が飛んだ。1つアウトを取ればチェンジ。それでも直前に犯したミスで奥手になり打球まで追いつくのに時間がかかった。捕ってから二塁へトスしたがセーフの判定。一塁へ投げればアウトにできるタイミングだったが、慎重になって判断も誤った。結局そのミスが響いてこの回から投げていた田面は2点を許した。

 試合後、虎風荘に戻る足取りは重く、タオルで顔を隠し泣いていた。普段ならイタズラっぽく笑いながら近づいてくるが、この日は明らかに様子がおかしかった。その“異変”を感じ取り、藤本2軍内野守備走塁コーチに聞いてみた。

 「エラーをするのは仕方がない。でも2つ目のプレーはボールまでも遅いし、その後の判断(送球する場所)も悪い。引きずっているようにも見えるし、消極的なプレー。思いっきり攻めていって、ミスをするならいいけどあれは許せない。試合が終わって、かなり厳しく言ったけどね」

 ミスを犯した後のミス。この“予兆”は以前にもあった。それは春季キャンプ。1軍メンバーに名を連ね、初めて宜野座でシーズンのスタートを切った。自慢の脚力と守備力でアピールし、無事キャンプを乗り切るかに思えた。だが、終盤で行われた紅白戦。2失策するなど、精彩を欠いた。

 自身が犯したミスの後、通常練習のノックなどでもバウンドが微妙にずれていた。いつもの感覚と違う。平田チーフコーチや久慈内野守備走塁コーチがサブグラウンドで行っていた特守でも捕球するバウンド(タイミング)が理想的ではなく「なんかおかしいぞ、海(かい)!海ができるまで(ノックは)終わらないからな!」と声を掛けられていた。

 植田は私が入社して2軍を担当していた時、「こんなに素晴らしい選手がいるのか」と感銘を受けた選手だ。足の速さ、捕ってからの早さなどの守備力は、1軍で活躍するチームメートの中でもトップクラス。昨年、出場は1試合だけだが、1軍を経験し大舞台で戦う緊張感を味わった。必ずまた戻ってくる。

 あの涙が、彼をたくましく、強くさせてくれる。(デイリースポーツ・山本真吾)

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