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<九州豪雨>「想像絶する被害」雨の中、懸命の捜索活動続く

7/7(金) 20:26配信

毎日新聞

 記録的大雨から3日目となる7日、九州北部豪雨の被災地では安否不明者の捜索活動が続いた。自衛隊などが懸命の作業をしているが、大量の土砂と雨がその手をはばむ。捜索を見守る家族は焦りと疲労の色を濃くしている。

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 福岡県東峰村。安否が不明の2人、80代の夫婦が住む屋椎集落は村の中心部との道路が5日の豪雨で寸断。6日に峠道で現場入りして捜索を始めた自衛隊や警察、消防は7日も朝から作業に着手した。

 集落の近くには宝珠山川が流れている。濁流で流れてきた太い木の枝や根が絡まった夫婦の2階建て住宅は、壊滅状態。自衛隊員らは土砂を取り除きながら、のこぎりで慎重に木を切り、畳やトタン板なども撤去した。

 峠道を越え、6日に続いて捜索を見守った夫婦の長男(56)は「想像を絶する被害だ」と声を震わせた。

 雨が強くなった5日午後4時12分過ぎ、携帯電話に母からの着信が立て続けに2回あった。仕事で出られなかった。午後6時ごろ急いでかけなおしたが不通だった。「雨の音に不安になったのか」。今も悔やまれる。

 長男は7日は、妹ら親族5人と峠を越えてきた。「自分たちが何もできないのがもどかしい」と、運んできた飲料水を自衛隊員らへ差し入れた。

 同日午後6時20分ごろ捜索現場がブルーシートでおおわれ、約1時間20分後、警察官らが毛布がかかった担架を運び出した。2人のうちの1人が見つかったとみられる。

 長男はつぶやいた。「とにかく早く2人とも見つかってほしい」

 福岡県朝倉市杷木地区では、両親と祖母の3人が不明になっている会社員の藤本貴志さん(46)が捜索作業を見守った。

 豪雨が強さを増した5日午後4時半ごろ、同居する父親の行俊さん(80)、母親の純子さん(69)、祖母ヨリ子さん(88)に避難所へ行こうと声をかけたが、3人とも応じなかった。妻と子ども2人を避難所に連れて行き、自宅に戻って説得したが「行かない」と答えは変わらなかった。

 もう一度引き返し、午後7時すぎに3度目の説得を試みようとしたが、その時には自宅に向かう橋が濁流にのみ込まれて渡れなくなっていた。

 6日午前4時半、橋の上にたまった木々を乗り越え、自宅に到着した。壁や屋根が崩れ、泥で半分以上が埋まっていた。自衛隊に救助を求めた。7日、雨が続く中、傘もささずに作業の様子を見つめた。藤本さんは「高齢だし、あまり動きたくなかったのだろう。早く見つかってほしい」と祈った。【柿崎誠、遠山和宏】

最終更新:7/7(金) 23:06
毎日新聞