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さんまに号泣謝罪の小出恵介、本当に謝るべき人は…

7/7(金) 16:03配信

スポーツ報知

 学生時代から演出家・鴻上尚史さん(58)率いる「第三舞台」(2012年解散)の追っかけだった。サークルの先輩が主演級俳優の同級生だったこともあり、チケットを買っては足繁く公演に通い続けた。

 芸能担当記者になった時、鴻上さんの新作舞台のゲネプロ取材に足を運んだ。当時20代前半、今やスターとなった主演俳優が「座長として舞台を引っ張る責任を感じています」と目を輝かせて宣言した。その時は「この舞台はあくまで鴻上さんの生み出す舞台であって、俳優はコマの一つなんだけどな…」。ちょっと斜に構えた感じで、その俳優に青臭さまで感じてしまったことを今、正直に告白する。

 それから15年近くがたち、その俳優が口にした「座長」という言葉の重みをしみじみと実感させられる機会があった。

 6月9日発売の写真誌「フライデー」で17歳女子高生との淫行、飲酒が発覚、所属事務所・アミューズから無期限活動停止を受けた俳優・小出恵介(33)。その翌日から放送予定だった小出主演のNHKドラマ「神様からひと言~なにわお客様相談室物語」全6回の放送も中止になった。「座長」である主演俳優が無期限活動停止のため、放送される可能性は現状ほぼ無いと言っていい。

 NHKの上田良一会長(68)は6日の定例会見で、同ドラマの放送中止について「番組が受信料で作られている以上、重く受け止めている。担当者がきちんと事務所と協議していく。進展の度合い? それは協議中ということです」とアミューズに対する損害賠償交渉に入っていることを明言した。アミューズ自体も6月25日に行われた株主総会で畠中達郎社長が「創業39年の中で最大の不祥事と捉えている。非常に重く受け止めている」と語気を強めるなど危機感むき出し。実際、小出の事件直後の同社株価は前日の3120円からマイナス3・53%の3010円に大幅下落。この下げ幅は08年の金看板・サザンオールスターズの活動休止時の9・95%、15年の福山雅治(48)結婚時の8・3%には及ばないが、10年の桑田佳祐(61)の食道がん発表時の2・96%を上回るほどだった。

 NHKだけでも億単位と言われる賠償額にもちろん、小出自身も反省の姿勢を見せている。ネットフリックスで放送予定だった明石家さんま(61)の初プロデュース・ドラマ「Jimmy~アホみたいなホンマの話~」にも、さんま役で主演予定だったが、こちらも配信未定に。さんま自身が小出から「申し訳ないと言って、ウォンウォン泣きながら」の号泣謝罪電話がかかってきたことをラジオ番組で明かしている。

 しかし、ちょっと待って欲しい。「座長」として「神様からひと言~」に主演予定だった小出。放送1日前に主演ドラマが放送中止という前代未聞の事態を引き起こした小出には、誰よりも先に謝るべき人がいるのではないか。

 段田安則(60)、小泉孝太郎(38)らトップ俳優が出演予定だった同ドラマだが、その他にも名前のクレジットすら本当に小さな数多くの若手俳優、女優たちが、この作品には出演予定だったはずなのだ。ささやかな自分の出演シーンを楽しみに、小さな名前のクレジットを心の支えに6月10日の放送を待っていた俳優の卵たちが、そこにはいたはずなのだ。

 記者にも18歳の時から20年近く俳優を目指し、アルバイトをしながら舞台に立ち続けたいとこがいる。いとこは妻の出産を機に俳優をあきらめ、一般会社に就職した。

 大学の同級生の女性は卒業後、劇団に入団。コツコツと舞台で実績を積み上げ、NHK朝ドラに脇役出演したことで一気に知名度を高め、今や様々な舞台に欠かせない存在になっている。

 現在、放送中のNHK朝ドラ「ひよっこ」主演の有村架純(24)、前作の「べっぴんさん」主演の芳根京子(20)もともに数年前の朝ドラに脇役として出演。その時にかいま見せた輝きが評価され、後の主役抜擢につながった。

 たとえワンシーン、ワンカットでもいい。「神様からひと言~」にも、そんな将来への夢を持った俳優の卵たちが多数、出演していただろう。視聴者、スポンサー、所属事務所、何より被害女性への謝罪は大切だ。だが、小出が「座長」として頭を下げるべきなのは、自身の暴走で世に出る機会を奪った共演者たちなのではないか。いまだに公式の謝罪会見が行われていない今、そんなことを思った。(記者コラム・中村 健吾)

最終更新:7/24(月) 16:27
スポーツ報知