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イチローが抜いたロッド・カルー氏…心臓移植をめぐる亡きNFL選手とのドラマ

7/7(金) 14:20配信

スポーツ報知

◆ナ・リーグ カージナルス4―3マーリンズ(6日、セントルイス)

 マーリンズのイチロー外野手は6日(日本時間7日)、敵地のカージナルス戦で「7番・右翼」でスタメン出場し、3打数2安打。メジャー通算3054安打とし、ロッド・カルー(3053安打)を抜いて歴代24位となった。

 イチローに抜かれたことで、久しぶりに名前が出た通算3053本のロッド・カルー氏(71)。1967年のメジャーデビューから18年連続でオールスター戦出場を果たし、ア・リーグ首位打者7度、1977年にはア・リーグMVPに輝いた殿堂入り選手で、「レーザービーム」の名付け親であるマリナーズのアナウンサー、リック・リズ氏がイチローを見ると思い起こすという選手でもある。

 そのカルー氏が心臓病の予防啓発に一役買っている。2016年からアメリカ心臓協会と協力し、「29のハート」というキャンペーンを展開中。血圧やコレステロールの定期検査を推奨し、古巣ツインズの本拠地ターゲット・フィールドでは募金ウォークを開催している。

 ロサンゼルス・タイムズ紙によると、カルー氏は2015年9月に心臓発作を起こし、2016年12月16日に13時間に及ぶ心臓移植手術を受けた。臓器を提供したのは、その4日前に脳動脈瘤のため亡くなった29歳のNFL選手コンラッド・ルーランド氏。ニューヨーク・ジェッツとボルティモア・レーブンズで試合に出場した選手だ。29はたまたまカルー氏が現役時代に着用していた背番号だが、偶然は更に続く。

 現役最後の7年間をエンゼルスで過ごしたカルー氏は、引退後もロサンゼルス郊外のオレンジ郡に居を構え、現ロンダ夫人の娘と息子は、ルーランド氏と同じ学校に通った時期があった。11~12歳の頃、初めてカルー氏と出会ったルーランド氏は、殿堂入りの選手に会えたと一日中胸を躍らせていたという。その心臓が約20年後にカルー氏の体内で鼓動を刻むことになった。

 移植手術から1年間は臓器提供者と移植者の名を明かさず、接触させないのが慣習だ。拒絶反応のリスクを考慮してのことだ。しかし、同じ郡内に住む2人のスポーツ選手が1つの心臓でつながっているのではないか? その可能性が母親のメアリーさんとロンダ夫人の引き合わせを加速させ、今年3月2日には早くも両者の初対面が実現した。

 「これからは私達の家族の一員よ」。涙ぐみながらメアリーさんはカルー氏をハグした。そして、カルー氏の胸に聴診器を当てて息子の心臓の音を聞く彼女へ、カルー氏は「大事にします。2度目のチャンスをいただいたのだから」と誓った。この様子をカメラに収め、16日(日本時間17日)にテレビ放映することにしたのも、カルー氏の家族とルーランド氏の遺族が心臓病の予防を願ってのことだ。

 ルーランド氏の30回目の誕生日となるはずだった4月4日には、両家族が一緒に墓参りした。「コンラッド、誕生日おめでとう。君からもらったかけがえのない贈り物を、一生大事にすると約束する。また会う日まで、キリストを信じる君の永遠の兄弟より」。カルー氏はそう記したサインボールを捧げたそうだ。

最終更新:7/7(金) 19:14
スポーツ報知