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「トップインタビュー」〈矢崎エナジーシステム・矢崎社長〉=新製品投入、付加価値向上

7/7(金) 6:02配信

鉄鋼新聞

――まずは2017年6月期の状況を振り返って。
 「電線事業では国内市場が縮小した中でも、これまで進めてきた施策の効果が着実に出て販売数量を約4%増となる7万7300トンに伸ばせた。昨年2月に東日本物流センターを開設し顧客対応を強化できたことや在庫面での信用力が高まったことなどが拡販に貢献。併せて施工しやすい新製品の投入に力を入れてきたことも認められたと考えている。一方で銅価変動の影響から売上高と収益は前期から減少した。ただ顧客の利便性を高める戦略自体は決して間違ってはいないので、今後もしっかり続けていく」

――18年6月期についてはどのような見通しを。
 「しばらくは厳しい需要が続きそうだが、18年になれば再開発プロジェクトの進展などで建設用電線のニーズが増え、市場は回復してくると期待している。当社では後半から売り上げを伸ばして、高水準だった前期並みの販売数量を確保したい。現在は拡販に向け営業拠点を強化。東京支店を行き来がしやすい立地に移転したほか北海道販社の社屋を顧客に来てもらえる拠点をコンセプトに新しくするなど、顧客がより注文しやすい環境づくりを進めている。収益環境については厳しい局面が続くと考えており、しっかりとした販売価格を提示することがさらに重要になるだろう」
――沼津製作所の再構築について現在の状況は。
 「計画通りに進んでいる。第一ステップとして試験や細物CVケーブルの製造工程が入る建屋を18年1月に竣工させ、2月には600ボルト以上のCVケーブルを生産する工場の建設を始める。また設備の強化も考えており、停止時に使うエネルギーを回収できるタイプの製造ラインを導入したい。次のステップは市場動向を見定めながら実施時期を考える。第二ステップは倉庫の改築などがテーマになりそう。第三ステップでは撚線設備などが集注している工場を大胆に刷新する」
――海外事業ではミャンマーでの製造を検討しています。
 「これから電力の普及が進むミャンマーは重点拡販地域だ。我々矢崎総業グループが掲げる『世界とともにある企業』の社是に基づいて、販売するだけではなくミャンマーの人たちと一緒にモノづくりをすることが非常に大切だと考えている。また要求されるニーズに最適に対応するためにも現地生産は重要だ。タイの新工場開設に伴い余剰となった設備を生かすかたちで現地生産を検討し、今期中には具体的なスケジュールを作りたい。比較的造りやすいものからスタートし、長期的なゴールとしてはフルラインアップを目指す」
――中期的な事業戦略については。
 「矢崎総業グループの電線や太陽熱利用機器、計装関連などの事業統合で当社が発足し、5年が経った。統合効果の創出や売上・収益は第一ステップとしては良い結果だったと思っている。現在、当社連結の売上高は1600億円程度だが次の5年間では2千億円以上を目指したい。併せて安定した収益性も重視する。今後は引き続き新商品の投入に注力。現場のことを考えた施工性に優れる新製品で差別化を図り、付加価値を高めていきたい」
 「またこれまでは物流・営業拠点などハード面に投資をしてきたが、これからはソフト面を強化する。今後5年間の目玉となる投資として受発注や在庫管理システムの見直しを進めて、業務効率を高める。在庫確認や納期回答の迅速化などで使う側の利便性が高まれば、発注する側も便利になるため事業競争力の強化にもつながるだろう」
――事業別にはどのような方策を。
 「電線ではASEANのビジネスを強化するとともに、国内の収益基盤をさら固める。ASEANでは主力地域のタイでバンコクに加えて同国地方への販売を拡大。さらにラオスやカンボジアなど周辺国への拡販を進める。ミャンマーについては、一つの事業体として完結できるところまで育てていきたい。計装やガス機器では情報通信技術を活用し、ネットワークと接続する製品で新たな商圏を切り開きたい。また太陽熱を利用した温水機器など環境システムは事業の刷新による成長を目指していく。長期的には連結での売上高3千億円を目標としている。今後5年間を経た後のさらに先のステップでは世界的に高まる需要の捕捉に向けて、現有事業での自律的な成長と併せてM&Aも視野に入れたい。そのためにもこれからいっそう安定した収益を確保していくことは重要になるだろう」(古瀬 唯)

最終更新:7/7(金) 6:02
鉄鋼新聞