ここから本文です

「この目でしっかり確かめたい」核兵器禁止条約、採択に立ち会う被爆者の思い

7/7(金) 19:31配信

BuzzFeed Japan

ニューヨークの国連本部で7月7日(現地時間)、核兵器禁止条約が採択されようとしている。核兵器を法的に禁止する条約の誕生は、広島・長崎への原爆投下から72年を前にして初めて。だが、その内容を議論する交渉会議には、核保有国のアメリカや、唯一の戦争被爆国である日本の姿はない。

【画像】「はだしのゲン」の原画が語る、原爆の悲劇

被爆者はどのような思いでこの日を迎えるのか。BuzzFeed Newsは、現地で採択の瞬間に立ち会う日本原水爆被害者協議会(被団協)事務局次長の藤森俊希さん(73)に聞いた。【BuzzFeed Japan / 伊吹早織】

母におぶられ、1歳4カ月で被爆

藤森さんは1歳4カ月のとき、広島で被爆した。母の背におぶられ、病院へ向かう途中。爆心地から2.3キロの場所にいた。2階建の民家が熱線を遮り、奇跡的に助かった。だが、11人の大家族は疎開していた4人以外全員が被爆し、当時13歳だった姉は遺体が見つからないままだ。

「母は毎年8月6日になると、子供たちを部屋に集めてあの日の体験を話して聞かせました。涙を流しながら、つらそうに。小学校に上がったころ、母に聞いたことがあるんです。『なぜそんなにつらい思いまでして話すのか』と。母は私の目を見て、一言答えました。『あんたらを同じ目に遭わせとうないからじゃ』と」

72年は「長かった」

これまで核軍縮をめぐる国際的な議論は、アメリカやロシアなどの5カ国に核兵器を持つことを認めた上で、軍縮を義務付ける「核兵器不拡散条約」(NPT)を土台としてきた。だが、2010年に赤十字が「核兵器の非人道性」を訴える声明を出したことをきっかけに機運が高まり、今回の会議には国連加盟国193カ国のうち6割を超える約120カ国が参加。

3月と6~7月の計約4週間にわたる交渉会議の結果、核兵器を「使う」ことを禁止するだけでなく、核兵器で「威嚇」すること、つまり「核の抑止力」の否定にまで踏み込んだ草案がまとまりつつある。さらに、前文には「ヒバクシャの受け入れがたい苦痛を心に留める」との一節も含まれる。

広島、長崎への原爆投下から72年。藤森さんは「長かった」と言う。

「長いですよ。人類の歴史からしたらあっという間かもしれないけれど、一人の命からしたら、長い、長い時間だと思います。でも今まで72年間動いてなかったものが、ようやく動き始めた。大きな一歩だと思います」

1/2ページ

最終更新:7/7(金) 19:31
BuzzFeed Japan