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野生動物を生中継、ナショジオの新たな挑戦

7/7(金) 10:47配信

ウォール・ストリート・ジャーナル

 野生のコウモリやオオメジロザメ、それにライオンやラングールが生中継のテレビ番組に駆り出されようとしている。

 米国の各テレビ局がミュージカルやスポーツイベントのライブ中継を利用して視聴者獲得を試みるなか、「ナショナル・ジオグラフィック」チャンネルは野生動物を特別ゲストにした2時間の生放送で視聴者を引き寄せようとしている。米国時間9日夜(日本時間10日朝)に放送予定の「アース ライブ」は、12のタイムゾーン(時間帯)にまたがる16カ国の撮影カメラマンから送られてくる生の映像を集めて放送する番組だ。

 通常の野生動物番組では、スタッフが現地で何カ月もの月日を費やしてハイライトシーンをカメラに収めるが、「アース ライブ」はその瞬間の動物たちのライブ映像を使う。制作者たちは、撮影場所を決め、撮影日を満月の日に合わせた。ドラマのような場面を撮影できるチャンスを最大限にしたかったからだ。天気やテクノロジー、それに野生動物の協力があれば、ケニアで月明かりの下、大移動中のヌーの群れの中でライオンたちが狩りをする場面を視聴者は目撃できるだろう。また、タイのマカクザルが海岸で朝食用に貝をたたき割る姿も見られるだろう。

 ナショナル・ジオグラフィックのオリジナル番組制作責任者のティム・パストア氏は、動物たちが「われわれのスーパースターだが、どのタレントにも望むように、必要なときにちゃんと演じてくれることを期待する」と話す。

 大手の各テレビ局は、生番組への投資を続けている。番組の過密スケジュールや視聴者の無関心、視聴率を低下させるデジタルビデオレコーダー(DVR)の存在に対抗するためだ。2013年にミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」をライブ中継する「サウンド・オブ・ミュージック・ライブ」で先陣を切ったNBCは来年のイースター(復活祭)に、ミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」のライブ中継を予定している(ただし、「バイ・バイ・バーディー」の制作は延期した)。フォックスはミュージカル「レント」をライブ中継する予定であるほか、来シーズンには「ア・クリスマス・ストーリー」を放送する。ABCはディズニー映画「リトル・マーメイド」のミュージカル版の放送を予定している。

 ナショナル・ジオグラフィックも既にそのような動きに出ており、脳の外科手術の生中継をしたり、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の宇宙飛行士のライブ映像を放送したりしている。だが、「アース ライブ」は予算面においても、必要なときに必要な映像を調達できるか分からないという点においても、より大きな賭けになる。地球に住む野生生物の退屈な1日を視聴者に見せてしまうリスクがある。また、綱渡りが失敗したときのように、視聴者を当惑させる場面を見せてしまうリスクもある。

 「アース ライブ」のディレクターを務めるのはグレン・ウェイス氏だ。同氏は長年、アカデミー賞やエミー賞、トニー賞などの授賞式を生中継する番組のディレクターを務めており、動物の映像よりも、むしろ有名芸能人の撮影に長(た)けた人物だ。同氏は現地からマンハッタン・ミッドタウンのスタジオに送られてくる映像を組み合わせて調整する。スタジオでは、博物学者のクリス・パッカム氏が生中継でコメントする予定だ。司会はフィル・コーハン、ジェーン・リンチ両氏が務める。リンチ氏は、ホストとしての自分の役割は「感嘆して立ちつくし、『ワオ!』と叫ぶことだ」と、半ば冗談めかして述べた。

 9日の放送を控え、これまで何度か週末にリハーサルを行ってきた実地調査員やカメラマンたちは、「出演」予定の野生動物たちが本番当日にいるべき場所にいて、期待通りの行動をとるよう観察を続けている。

By John Jurgensen