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メジャーリーガーになるために家族より野球を“優先”した

7/8(土) 16:45配信

東スポWeb

元局アナ 青池奈津子「メジャー通信」

【フリオ・タラン投手(ブレーブス)】前回に続き、ブレーブスのエース、フリオ・タランのメジャーまでの道のり――。16歳で故郷コロンビアを離れて、野球漬けの日々。尊敬する叔父ミゲール(元カージナルスのマイナー選手)は以前、家族が恋しくて選手の道を断念している。「叔父は自分の失敗から、ことあるごとに『家族が恋しくなるぞ』って口が酸っぱくなるほど教えてくれたから、心の準備はできていたんだ」

 コロンビアもドミニカ共和国などと同様に大家族が一般的だ。「父だけでも7人の兄弟がいて、それぞれに3~4人は子供がいるから、にぎやかだよ」。フリオのツイッターは家族の集合写真が真っ先に目に入る。家も徒歩圏内ですぐ会いにいける環境から突然の孤独な生活へと激変した。

「『そんな時は自分のなりたいものにフォーカスすること』という叔父の教えをそのまま実行したよ。家族と離れ離れなのはつらいけど、できないことではない。僕のやりたいことはメジャーリーガーになること。夢をかなえたかった。野球への挑戦が1番、家族は2番のマインドセット(考え方の基本的な枠組み)」

 毎年シーズンが終わると、すぐにコロンビアへ帰った。「(米国では)最初は食べ物が違うのも戸惑ったけど、それは比較的すぐに慣れたんだ。でも英語は全くわからなくて、話せるようになるまで4年はかかったかな。チームがオンラインクラスを取らせてくれるから、空いてる時間にひたすら勉強。チームメートと早く話せるようになりたかった」

 米国に来て10年。全て自分の言葉で、真っすぐ伝えてくれるフリオからは、英語への不安は感じない。むしろ冗舌で驚いたくらいだ。きっと地元に帰ったら今以上に元気で明るいのだろう。

 昨年、母マーリンさんと「タラン・ファウンデーション」という慈善団体を設立した。叔父やいとこがコーチを務め、地元の子供たちに野球グッズを提供している。

「コロンビアでは生活に苦しんでいる人たちが多い。僕も貧しいエリアの出身だからよく分かる。子供たちにもっと野球を身近な物に感じてほしい。彼らをトラブルから引き離し、野球やスポーツのことばかり考えられる環境をつくりたい。そんな時、子供たちが見上げる人物が必要でしょう?」

 地元では「フリオのようになりたいか? じゃあ、野球をしよう!」と叔父たちが子供たちに働きかけている。「たまに子供たちから動画が送られて来るんだ。『いつも見てるよ! フリオは地元の誇りだよ!』。そういうメッセージをもらうと、すごく誇らしく思う」

 子供たちのためにも、家族のためにも止まってはいられない。次の目標は投手の最高峰サイ・ヤング賞だ。「すごく難しいことではないはず。努力していればいずれかなうと思う。僕はいろいろな経験をしたけど人生が今のように変わったこと、オールスターや先発1番手になれたことをすごくうれしく思っている。全て目標にして頑張ってきたことだから。でももっともっと頑張らなきゃいけないって感じている」

 16歳で家を出た彼は、26歳とは思えない貫禄を醸し出す。自分の役割と責任を把握し、真正面から向き合えるのはとても立派だと思ったので「あなたは戦士のようね」と伝えると「僕もそんな気がしているんだよ」。フリオの大きな笑顔がまぶしかった。

 ☆フリオ・タラン 1991年6月27日生まれ。26歳。コロンビア出身。右投げ右打ち。188センチ、79キロ。2007年にアマチュアFAでブレーブスと契約。11年5月7日のフィリーズ戦でメジャーデビュー。13年から先発枠に定着。同年に14勝をマークして頭角を現し、翌14年も14勝を飾り、エース格へと急成長。14、16年には球宴にも選出された。今年3月の第4回WBCにコロンビア代表で参加した。

最終更新:7/8(土) 16:45
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