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【岩手】花巻農、宮沢賢治先生の教え守って粘勝発進 

7/9(日) 8:04配信

スポーツ報知

◆全国高校野球選手権岩手大会 ▽2回戦 盛岡市立5―9花巻農(8日・岩手県営)

 岩手では2回戦で、かつて詩人で童話作家の宮沢賢治が教壇に立った花巻農が、9―5で盛岡市立を下した。変則左腕のエース・及川尚輝(3年)は、5失点しながらも171球の熱投で、完投勝利を挙げた。福島は昨夏8強の会津が福島工に4―2で競り勝ち、1回戦を突破。4番・佐藤政志捕手(3年)が広角に打ち分け、4打数4安打3打点と活躍した。

 夏の暑さにも、味方のエラーにもマケズ―。最後の打者を遊ゴロ併殺打に仕留めた花巻農・及川は、左拳を握りしめて雄たけびを上げた。自軍に5つの失策が飛び出しても、笑顔を絶やさず、7安打4奪三振、自責点2で完投。「相手は強いと知っていたので、気を引き締めた。勝ててよかった」

 右足を通常のホーム側ではなく、一塁方向に踏み出すように大きくクロスして投げ込む独特の投法。そこからゆるいカーブを多投するなど、速度にも変化をつけて打者を幻惑した。「打撃練習の時は、皆に『(タイミングが合わず)フォームが狂うから投げないでほしい』と言われます」と、仲間にも恐れられるほどの変則ぶりだ。この日、盛岡市内では今年最高となる気温33・0度を記録する真夏日だった。だが、エースは「暑さは気にならなかった。投げやすかった」と涼しい顔で、最後まで左腕を振り続けた。

 花巻農応援席の横断幕には「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」の文字が揺れた。前身の稗貫(ひえぬき)農学校(後に花巻農学校)時代に教べんを執った、宮沢賢治が残した言葉がナインを見守った。また、学校行事の終わりには、賢治の作詞した精神歌を合唱するなど、今でもその魂は受け継がれている。及川も「暑さにも負けず完投できました」と“賢治先生”の詩を引用し、胸を張った。

 「雨ニモマケズ」の詩はその後「丈夫ナカラダヲモチ 慾(よく)ハナク」

と続いていく。だが、炎天下で171球を投げ抜いた鉄腕エースは「欲を言えば、甲子園に行きたいです」とポツリ。熱戦を終えた安心からか、最後は少しだけ本音がこぼれた。(守田 力)

最終更新:7/9(日) 8:04
スポーツ報知