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まるで地下神殿…採石跡の「大谷資料館」が人気 宇都宮

7/10(月) 9:45配信

産経新聞

 「幻想的」「神殿みたい」-。宇都宮市大谷(おおや)町の地下に広がる巨大空間「大谷資料館」が人気を博している。元々は大谷町特産の「大谷石」を掘り出してできた空間で、昭和54年の開館以来、観光地として人気を集めてきた。東日本大震災後の休館を経て、平成25年の再開後は映画やドラマ、音楽ビデオなどのロケ地としても頻繁に使用されている。

 ■NYの大戸屋にも大谷石

 大谷石は耐火性に優れ、重量も軽く、石質が柔らかいため加工しやすいなどの特徴がある。住宅や石蔵、防火壁、門柱、煮炊き用のかまどなど多様な用途で活用されている。大正時代、フランク・ロイド・ライト設計の旧帝国ホテル・ライト館に使用され、その完成披露当日、大正12(1923)年9月1日に関東大震災に遭遇。小規模な損傷だけで焼け落ちることなく、優美な姿を残した。同館は現在、愛知県犬山市の明治村に移築復元されている。

 宇都宮市内を巡ると、大谷石造りの蔵や塀にいくつも出合える。ロマネスク様式のカトリック松が峰教会(同市松が峰、国登録有形文化財)やJR宇都宮駅西口の餃子(ギョーザ)像などで、広く親しまれてきたことが分かる。

 同館は採石場跡だが、大谷地区では現在も7社が採石を続けている。27年度の生産量は1万2200トン。最盛期の昭和40年代には100を超える業者が年間80万トン以上を生産していた。

 減少傾向にある中、石材加工販売会社、大谷石産業(同市)は平成22年、大谷地区では32年ぶりとなる新たな採石場を設けた。同社広報部長の飯村淳さん(55)は「県のスポーツゾーン構想でも全ての施設に大谷石が使われる予定。今後もかなり需要はある」とにらむ。

 需要は県内にとどまらない。外食チェーン「大戸屋」の米ニューヨーク店、アパレル「アーバンリサーチドアーズ」などの内装にも採用された。宇都宮市や県の補助金も後押しし、住宅内装に使いたいという問い合わせも増加。2020年東京五輪に向けて建設中の新国立競技場(東京都新宿区)にも使用される予定で、飯村さんは「より使用量を増やしてもらうよう要望中」という。

 ■日本遺産登録目指す

 需要増の半面、供給する業者は減少し、高齢化も進む。同社は外国人技能実習生の受け入れを進めるが、なかなか定着しないという。

 宇都宮市は今年度、大谷地区の観光拠点としての魅力を高めようと、都市魅力創造課に大谷振興室を設置。観光、産業、農業の観点から同地域の振興を図ろうと関連予算を約6億9千万円を計上した。

 「やぼう」は大谷石関連文化財の日本遺産登録。関係者は申請の準備を進めている。

最終更新:7/10(月) 9:45
産経新聞