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日欧EPA 大枠合意 TPP超 チーズ 数量、価格で打撃

7/8(土) 7:01配信

日本農業新聞

 大枠合意した日欧経済連携協定(EPA)で、日本は環太平洋連携協定(TPP)並みの自由化を受け入れた。農産物では82%程度の品目で関税を撤廃。チーズなどは、TPPを超える水準の市場開放を迫られる。農水省は「再生産が可能な国境措置が確保できた」とするが、本当に国内生産の維持・拡大はできるのか。丁寧な検証と、必要に応じた国内対策が欠かせない。

 交渉の焦点だったチーズ。TPPでは関税を維持したカマンベールなどのソフト系でも、最大3.1万トンの輸入枠の設定を受け入れた。生乳換算では約39万トン。TPPで関税を維持したモッツァレラなどとひとくくりの輸入枠とし、初年度2万トンから16年目の3.1万トンまで徐々に拡大。枠内の税率も段階的に下げ、16年目に撤廃する。

 農水省は、これらのチーズの欧州連合(EU)からの現行輸入量を2万トンと推計し、輸入枠の数量は「国内消費の伸びを考慮して設定した。国産チーズの生産拡大と両立できる」(幹部)とする。だが国産の直接消費用ナチュラルチーズの生産量はハード系を含めても2万トン程度。将来的に、これを大きく上回る量が関税ゼロで輸入できる。

 EU産の高品質なチーズが無税で大量に輸入されれば、国産チーズの価格下落などの恐れがある。農水省は「国産のソフト系の品質は高く、EU産に負けない」とするが、酪農関係者は「まだEUを目指して頑張っているところ。“先生”と競争するようなものだ」と指摘する。

 一方、ハード系はTPPと同様、29.8%の関税を16年目に撤廃する。EUの生乳取引価格は日本のチーズ向け乳価の2分の1程度で、オランダ産のゴーダなどのハード系は、TPP参加国と同等以上の価格競争力がある。関税撤廃で国産のハード系だけでなく、比較的安価なプロセスチーズとの競合も予想される。国産の原料用チーズの需要を確保する「抱き合わせ制度」も形骸化しかねない情勢だ。

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最終更新:7/8(土) 7:01
日本農業新聞